BIM導入企業の海外製作の窓口に

 STP&I社は1996年ごろからTeklaStructuresを使用しているが、当時は現在のBIMという観点とは異なり、あくまでも鉄骨の製作に必要な詳細図やデータを作るためのソフトとしての位置づけだった。

 しかし、BIMが普及しつつ現在は新しいワークフローが生まれている。BIMで意匠設計や構造設計を行った後、そのBIMモデルデータが既にSTP&I社で稼働しているTeklaStructuresによる生産システムとスムーズにつながり、鉄骨製作に生かすワークフローが出来上がるわけだ。

 STP&I社側では施工者から紙図面でなくBIMモデルデータを受け取ることができると作業は楽になる。部材の仕様や番号などの属性情報を生かしながら接合部などの詳細設計を行い、そのBIMモデルを施工者に戻すことができる。

 施工者は詳細化されたBIMモデルデータを使って、自社の書式に合わせて設計承認用の図面や出来形図の作成することができるのだ。

 同時に施工者と工場を取り持つ泰エンジニアリングの作業も楽になる。「施工者からBIMモデルがもらえると、図面や仕様書の翻訳作業はほとんど必要なくなる」と寺田氏は言う。

 タイにはSTP&I社のほか、日本のSグレード認定を取得した工場もある。日本の基準に合った鉄骨部材の海外製作は、BIMモデルデータをやりとりすることでさらに活用しやすくなる。円高メリットをBIMによって実現できる時代なのだ。

BIMモデルデータが海外の工場とつながることにより、BIMによる設計から海外生産までのワークフローが完成する(写真:家入龍太)
BIMモデルデータが海外の工場とつながることにより、BIMによる設計から海外生産までのワークフローが完成する(写真:家入龍太)

家入龍太(いえいり・りょうた)
家入龍太(いえいり・りょうた) 1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/ツイッターやfacebookでも発言している。