東京とハノイ間でBIMの連携も

 BIM導入から3年、久米デザインアジアではコンペに勝ち、設計業務を受注するというところでBIMの効果が出始めた。しかし、建設会社には従来の2次元CADで作成した図面を渡している。

 「BIMモデルを施工段階まで引き継いでいける建設会社とは違うため、施工段階までBIMでやるのは難しいのが現状だ」と竹田所長は言う。「今後はBIMで行った熱や光などのシミュレーション結果を設計にフィードバックすることで、環境建築の設計に生かして行きたい」(同氏)。

「HO TAY HOTEL COMPLEX」の設計で行ったBIMによる通風シミュレーション(左)と日照シミュレーション(右)(写真:家入龍太)

 ここにきてBIMのワークフローは少しずつ広がりつつある。前述の「プルマン・サイゴンセンター」のプロジェクトでは、後のプロセスでの使用のためBIMモデルを提供した。

 また、久米デザインアジアのハノイ本社の会議室にはLANによるコラボレーションの設備も整っている。「設計の初期段階に日本からの設計者がノートパソコンを持ってこの事務所に出張し、BIMでコラボレーションしながら設計をまとめていくこともできる。1カ所に集まることは重要だ」(竹田所長)。

ハノイ本社の会議室(左)にはLAN回線も用意されている(右)。BIMによるコラボレーションも可能だ(写真:家入龍太)

 久米デザインアジアは、ベトナムやタイなどにおける設計拠点としての地位を、BIMによって強固なものにしつつあるようだ。

家入龍太(いえいり・りょうた)
家入龍太(いえいり・りょうた) 1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/ツイッターやfacebookでも発言している。