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補助金を既に3回も獲得した大林組

 BCAが建築確認申請のBIM使用を義務付けすることに対し、シンガポールに事務所を置く日本の建設会社などは、積極的にBIM導入を進めている。

 大林組は2010年、東京本社にBIM推進室を設置し、その数カ月後にはシンガポール事務所にBIM推進室を、海外の支店にBIM担当者を配置した。大林組シンガポール事務所は、海外拠点の中でも特に先進的にBIMに取り組んでいる。

大林組シンガポール事務所でプロジェクトに携わる社員(写真:家入龍太)
大林組シンガポール事務所でプロジェクトに携わる社員(写真:家入龍太)

シンガポール事務所のBIM推進室(写真:家入龍太)
シンガポール事務所のBIM推進室(写真:家入龍太)

 BIMを活用したプロジェクトのうち、3件についてはBCAの補助金を申請し、そのすべてが満額、認められた。

 3件のうち最初に手がけたのは、市街地にある官公庁の建物だ。初めてBIMで実物件に挑んだもので意匠設計と構造設計をBIMで行った。BIMモデルから躯体図の切り出しや数量の自動集計、部材間の干渉チェックなどを行った。

 2番目に手がけたのは、約1万m2の日系企業のオフィスビルだ。内部にクリーンルームを持つこのビルは、ハイグレードな外観と高度な空調設備が求められた。この物件では合意形成と設備設計にBIMを適用した。

 3番目は約5万m2の米国大手オイルフィールドサービス会社の事務所と工場だった。当初、米国の設計事務所が行った設計では一部、RC構造で工期に問題があった。そこで着工前に施主に対して工法や施工コストなどのアドバイスを行う「プレコンストラクションサービス」や、設計が完了した部分から工事に着手する「ファーストトラック」という手法で対応した。これらの業務を行う際に、BIMを有効活用して使って施主に対する説明や合意形成を行った。

BCAのBIM補助金を獲得した事務所工場プロジェクトのBIMモデル(2点の資料:大林組)
BCAのBIM補助金を獲得した事務所工場プロジェクトのBIMモデル(2点の資料:大林組)

 3番目の工事のプロジェクトディレクターを務めた岡野英一郎氏は東京本社のBIM推進室から、このプロジェクトのためにシンガポールに赴任した。

 「3件ものプロジェクトで補助金を獲得した建設会社は、当社が初めてのようだ」と岡野氏は言う。

 補助金の後押しもあり、2012年10月現在、同事務所でBIMソフトを使いこなせるスタッフの延べ人数は、意匠設計用の「Revit Architecture」が13人、構造設計用の「Revit Structure」が10人、設備設計用の「Revit MEP」が6人になった。さらに意匠、構造、設備の干渉チェックなどを行う「Navisworks」が9人、アニメーションやコンピューターグラフィックスの作成を行う「3ds Max」が2人いる。

 「設備設計用のRevit MEPは東京本社よりシンガポール事務所が先に使い始めた。海外拠点の中では、米国とシンガポールでのBIM活用が特に先進的だ」(岡野氏)。

 シンガポール事務所では、海外からBIMコンサルタントを招き、3カ月、シンガポールBIM推進室に常駐してもらいBIMの上級教育を実施した。

 東京本社とシンガポール事務所などの海外拠点はBIMの活用に関して常時連携し、モデリングルールや3次元部品を集めたライブラリー、図面の作成を行うテンプレートなどの資産を共有している。また、本社側で見つけた英語版のソフトを海外拠点で実施テストするといったことも行っている。