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BIM義務化に対し少ない業界の抵抗

 建築確認申請のBIM化施策にかかわるBCAアカデミー副所長のチェン・タイ・ファット氏(Cheng Tai Fatt)は「シンガポール政府がBIMの導入を急ぐ狙いは、建設業界の生産性向上だ」と説明する。

 またBCAの建設ITセンター企業部門の副部長を務めるスーン・ライ・クァン氏(Soon Lay Kuan)は、「BIMの義務付けに対する企業の反発は少ない」と言う。

シンガポールでBIMに取り組むキーパーソンたちと。左からシンガポール大学土木環境工学科のスワディブ・ポーン教授、BCAのスーン・ライ・クァン氏、BCAアカデミー副所長のチェン・タイ・ファット氏、シンガポール国立大学のチェン・ウェン・タット准教授、筆者(写真:家入龍太)
シンガポールでBIMに取り組むキーパーソンたちと。左からシンガポール大学土木環境工学科のスワディブ・ポーン教授、BCAのスーン・ライ・クァン氏、BCAアカデミー副所長のチェン・タイ・ファット氏、シンガポール国立大学のチェン・ウェン・タット准教授、筆者(写真:家入龍太)

 シンガポールでは建設作業員のほぼすべてが外国人と言っても過言ではない。工事現場であれ、工場であれ、現場の作業員はタイやミャンマー、中国など周辺諸国からきた外国人ばかりなのだ。その理由は、シンガポール人の給与水準は高すぎて現場の労働者作業員としては採算がとれないからとも言われる。

 その半面、シンガポール人の雇用確保や多くの人件費が海外に流出することを懸念する声もある。BIMを導入し、「フロントローディング」によって施工時に部材の干渉や手戻り作業が発生しない設計を行うことで、現場の作業員数は減らせる。生産性向上狙いは、外国人労働者の賃金によっておカネが国外に流出するのを防ぐことにもあるようだ。

シンガポールの工事現場で働く作業員。そのほとんどは外国人労働者だ(写真:家入龍太)
シンガポールの工事現場で働く作業員。そのほとんどは外国人労働者だ(写真:家入龍太)

 3年間という短期間で、建築確認申請のBIM化義務付けを通じてBIMの普及をあの手この手で図ろうとするシンガポール政府の取り組みに対し、建設業界も協調的で順調に進んでいるようだ。日本のBIMやCIMの普及策を考えるうえでも参考になる部分が多くありそうだ。

家入龍太(いえいり・りょうた)
家入龍太(いえいり・りょうた) 1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/ツイッターやfacebookでも発言している。