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コンピューターで作成した3Dモデルデータから立体の模型を自動的に作る3Dプリンターは、低価格化が進み、一般にも身近な機械になってきた。一方、数メートル角の物体を造形できる巨大3Dプリンターも彫刻や人工サンゴ礁の作成など実用化が進んでいる。そしてオランダでは巨大3Dプリンターによる世界初の住宅建設を目指す建築家も現れた。

 オランダの建築設計事務所、ユニバース・アーキテクチュア(Universe Architecture)の建築家、ヤンヤープ・ライッセンナールス(Janjaap Ruijssenaars)氏が最近、明らかにした「ランドスケープハウス」という住宅の建設構想が日本でもネットを中心に話題を集めている。紙テープをひとひねりして輪にした「メビウスの輪」のようなユニークなデザインの建物だ。

メビウスの輪をモチーフにした住宅の完成イメージ(資料:Janjaap Ruijssenaars, Universe Architecture)
メビウスの輪をモチーフにした住宅の完成イメージ(資料:Janjaap Ruijssenaars, Universe Architecture)

 メビウスの輪のように床が天井になったり、天井が床になったりするこの住宅のコンセブトは「始まりも終わりもない。自然のような建物」だ。設計には数式によって複雑な3次元形状を作り出す「アルゴリズミックデザイン」という手法を活用した。

 この住宅の構想が注目を集めたのは、デザインの奇抜さもさることながら、建設するのに3Dプリンターを使う計画だからだ。実現すれば、3Dプリンターで作った世界初の本格的な建物となる。住宅の規模は地下フロアが280m2、1階が計512m2、2階が計375m2で合計1167m2だ。

アルゴリズミックデザインのプログラム(資料:Janjaap Ruijssenaars, Universe Architecture)
アルゴリズミックデザインのプログラム(資料:Janjaap Ruijssenaars, Universe Architecture)

巨大3Dプリンターによる“世界初”の建設を目指す

 ランドスケープハウスをつくるための3Dプリンターは、イタリア・ピサにある約7m四方の巨大3Dプリンター「D-SHAPE」だ。エンリコ・ディニ氏が開発した。

イタリア・ピサにある巨大3Dプリンター「D-SHAPE」(写真:家入龍太)
イタリア・ピサにある巨大3Dプリンター「D-SHAPE」(写真:家入龍太)

 サイズは大きいが、物体を造形する原理は石こうなどの粉末を材料に使う3Dプリンターとほぼ同じだ。砂状の「D-サンド」という材料を5mmの厚さに敷きならしては、その上から「Dソルト」という海水から作った固化剤を物体の断面に合わせてしみこませる作業を延々と繰り返しながら、物体を造形する。

コンピューターで作った3Dモデル(左)と造形後の物体(右)(資料・写真:Enrico Dini)
コンピューターで作った3Dモデル(左)と造形後の物体(右)(資料・写真:Enrico Dini)

固化剤の「Dソルト」(写真:家入龍太)
固化剤の「Dソルト」(写真:家入龍太)