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BIMの干渉チェックなら、たちまち発見できる

 今回の工事は、設計段階で作成した設計図にはスリーブが描かれていたものの、施工段階で入れ忘れたことが原因と言われる。図面上のスリーブを転記し忘れたミスのように言われているが、果たしてそうなのだろうか。

 筆者は、この失敗の本質は部材の干渉問題の見落としだったと思っている。施工段階では意匠、構造、設備の各設計図を1枚にまとめて「総合図」をつくる。施工担当者は目を皿のようにして総合図を眺め、配管が空調ダクトを貫いていないか、排水管が天井板を突き抜けていないかなどを確認し、必要に応じて施工可能な設計に修正する。

 しかし、意匠、構造、設備が3次元的に交錯していると、プロの技術者でも干渉部分を発見できないこともある。

 一方、BIMソフトには大抵、「干渉チェック機能」がついている。建物を構成する各部材が3次元空間内でぶつかっている場所を自動的に発見し、表示してくれる機能だ。

BIMモデルビューワーソフト「Tekla BIMsight」の干渉チェック機能。梁などにぶつかっている部材を自動的に発見できる(資料:テクラ)
BIMモデルビューワーソフト「Tekla BIMsight」の干渉チェック機能。梁などにぶつかっている部材を自動的に発見できる(資料:テクラ)

 今回のマンションの総合図をBIMモデル化し、干渉チェックを行っていれば、現場で施工する前の段階で問題となった約600カ所のスリーブ入れ忘れ、つまり部材の干渉個所はいとも簡単に発見され、施工図が修正されていたに違いないのだ。

 施工図にスリーブが描かれているにもかかわらず、現場でスリーブを入れ忘れることも場合によってはあるかもしれない。このような現場最前線のミスも、BIMモデルと現場を一致させる仕組みをつくり、習慣づけておけば水際でも防げるようになる。例えば、タブレット端末でBIMモデルを見ながらコンクリート打設前の現場と照合すれば、間違いにすぐ気が付くはずだ。