PR

プレハブ化により生産性向上にも寄与

 前述のようにシンガポールでは、建物の外観に高いデザイン性が求められることが多い一方、工事現場で働く作業員のスキルは日本よりも低い。BIMはこうしたギャップを乗り越えるためにも活用できる。それは部材のプレハブ化だ。

 プレキャスト部材は現場での修正が聞きにくいため、デザイン的にも施工面でもしっかりとした設計を確定させておくことが重要だ。そこで、まずBIMモデルでデザインを確認し、その後に図面をつくり、最後に部分的なモックアップを作成して設計を確定するという工程が必要になってくるのだ。

プレキャスト部材の設計からモックアップ作成までの工程でBIMを活用(資料:清水建設)
プレキャスト部材の設計からモックアップ作成までの工程でBIMを活用(資料:清水建設)

 こうして4年がかりでBIM活用のスキルを上げた清水建設シンガポール事務所は、第3段階(STEP3)の「フルBIM」をMBC2の現場に導入するまでになった。日本とは文化や社会・経済環境が異なる海外プロジェクトでも、BIMの利点を本格的に生かすことで、効率化が進めやすくなるといえそうだ。

清水建設シンガポール事務所でBIM活用を推進するメンバー。左から上級エンジニアのシュラセ・ツランゴン(Surasee Thurangon)氏、MBC2所長の石橋章夫氏、ジェネラルマネージャーのチュー・ウェイ(Cui Wei)氏(写真:家入龍太)
清水建設シンガポール事務所でBIM活用を推進するメンバー。左から上級エンジニアのシュラセ・ツランゴン(Surasee Thurangon)氏、MBC2所長の石橋章夫氏、ジェネラルマネージャーのチュー・ウェイ(Cui Wei)氏(写真:家入龍太)

家入龍太(いえいり・りょうた)
家入龍太
1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。 日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。 IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。 公式ブログ「建設ITワールド」(http://www.ieiri-lab.jp/)を運営。 著書に「CIMが2時間でわかる本」(日経BP社)、「図解入門 よくわかるBIMの基本と仕組み」(秀和システム)など。