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コウモリの洞穴をVRソフトで再現

 海外の研究者が多いだけあって、VRに関連する研究といってもアプローチは様々だ。例えば、バージニア工科大学のトマス・タッカー(Thomas Tucker)准教授は、中国の山東大学との共同研究で、コウモリの洞穴をVR化したことを発表した。

VRソフト「UC-win/Road」上に再現したコウモリの洞穴(資料:Thomas Tucker)
VRソフト「UC-win/Road」上に再現したコウモリの洞穴(資料:Thomas Tucker)
発表するバージニア工科大学のトマス・タッカー准教授(写真:家入龍太)
発表するバージニア工科大学のトマス・タッカー准教授(写真:家入龍太)

 タッカー氏は、数千匹ものコウモリが住む洞穴の内部を、3Dレーザースキャナーで計測し、1つの点群データを作った。そのデータをVRソフト「UC-win/Road」に取り込んだのだ。

コウモリの洞穴内部を3Dレーザースキャナーで計測する作業(写真:Thomas Tucker)
コウモリの洞穴内部を3Dレーザースキャナーで計測する作業(写真:Thomas Tucker)
計測された点群データ(資料:Thomas Tucker)
計測された点群データ(資料:Thomas Tucker)

 タッカー准教授の研究は、さらにコウモリの動きにまで及んでいる。コウモリの羽根に多数のマーカーを取り付け、モーションキャプチャーという方法で動きを計測したのだ。

 そしてコウモリの顔には、“フェース・ペインティング”で顔に絵を描く要領でマーキングを施し、3台の高速度カメラと8台の圧力マイクロホンを使って、コウモリの顔の動きまでもモーションキャプチャーで計測した。

 さらに、コウモリの全身を、マイクロCTスキャンにかけて、骨格の3Dモデルを作るところまで徹底して行った。

コウモリの羽根に取り付けるマーカーの位置(資料:Thomas Tucker)
コウモリの羽根に取り付けるマーカーの位置(資料:Thomas Tucker)
マーカーを付けたコウモリが飛ぶ様子を多数のカメラで追跡(写真:Thomas Tucker)
マーカーを付けたコウモリが飛ぶ様子を多数のカメラで追跡(写真:Thomas Tucker)


コウモリの顔にマーキングを施す作業(写真:Thomas Tucker)
コウモリの顔にマーキングを施す作業(写真:Thomas Tucker)
CTスキャンのデータを元に作成したコウモリの骨格3Dモデル(資料:Thomas Tucker)
CTスキャンのデータを元に作成したコウモリの骨格3Dモデル(資料:Thomas Tucker)

 モーションキャプチャーと骨格の3Dモデルから、コウモリの基本的な動作メカニズムが分かる。今後、洞穴内のコウモリの飛行ルートや顔の動きなどが分かると、VRソフトで動きを再現することで、世界中のコウモリ研究者がその動きを共有し、様々な側面からの研究を促進することが期待できる。

 当初は道路設計用に開発されたUC-win/Roadを、コウモリの生態研究に活用するとはなかなか思い付きそうにない。海外の研究者ならではの柔軟な発想と行動が、このソフトの用途拡大をもたらしたと言えそうだ。