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公共の駐車場スペース予約を個人間で取り引き

 ハーバード大学のコスタス・テルジディス(Kostas Terzidis)准教授は、オーガニック・パーキング社(Organic Parking Inc.)の最高経営責任者(CEO)でもある。スマートフォンで公共の駐車場などの駐車スペースの予約を個人間で売買できるシステムを運営する企業だ。フォーラムエイトもこの事業に関わっている。

発表するコスタス・テルジディス氏(写真:家入龍太)
発表するコスタス・テルジディス氏(写真:家入龍太)

 都心部に車で出掛けるとき、困るのが駐車できるスペースが見つかるかどうか分からないことだ。例えば、結婚記念日のディナーにすてきなレストランを予約し、正装やプレゼントを用意することまではできても、駐車場が確保できるかどうかという問題だけは残る。

 そこで開発したのが「オーガニック・パーキング」という個人間で駐車スペースの利用時間を取り引きするためのクラウドシステムだ。

 路面の脇にある無料駐車場やパーキングメーター付きの駐車スペースに既にクルマを止めている人は、スマートフォン(スマホ)を通じてスペースの販売価格と出庫時間をインプットする。この情報を地図上に表示される。

地図上に表示された駐車スペースの売り物情報(資料:Kostas Terzidis)
地図上に表示された駐車スペースの売り物情報(資料:Kostas Terzidis)

 これから駐車したい人はこの地図を見て、気に入った売り物があれば売り手とチャットで出庫時間を打ち合わせし、約束の時間になったら、現場でクルマを入れ替える。

 スマホ用のアプリには、クレジットカードやビットコイン(Android版のみ)などでお金をチャージしておき、駐車スペースが入れ替わると売り手と買い手の間で自動的にお金が移動する仕組みだ。駐車スペースを媒体にした一種のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)といえる。

チャットで売り手と買い手が出庫時間を打ち合わせるイメージ(資料:Kostas Terzidis
チャットで売り手と買い手が出庫時間を打ち合わせるイメージ(資料:Kostas Terzidis


約束の時間にお互いのクルマを入れ替えると、買い手のアプリに預けたお金が売り手のアプリに自動的に移動する(資料:Kostas Terzidis)
約束の時間にお互いのクルマを入れ替えると、買い手のアプリに預けたお金が売り手のアプリに自動的に移動する(資料:Kostas Terzidis)

 公共の無料駐車スペースも対象にして個人が売買するのはおかしいという考え方もあるだろう。しかし一方で、無料であるがゆえに、公共のスペースを長時間占拠し続けるドライバーもいる。少額の“謝礼”をもらえることが短時間での出庫を促し、公共駐車スペースの有効活用につながるという考え方もできる。

 このシステムは、GPSやクラウド、スマホがあってこそ実現可能となった。技術的にはシンプルな組み合わせだが、駐車場ユーザーの困りごと解決に役立つ、利用者志向のシステムと言えるだろう。こうした大胆なアイデアは、日本ではなかなか思いつかないのではないだろうか。