重すぎる点群データを賢く間引き:3D点群処理システム「X-POINT」(福井コンピュータ)
点群データをBIMやCIMで建物や土木構造物を設計していくための"3D下絵"として活用するケースが増えてきた。その際、数億点にものぼることもある点群データをパソコンでスムーズに扱うためのノウハウも重要だ。
国産CADベンダーの福井コンピュータは、点群データを"サクサク"扱うための新製品、3D点群処理システム「X-POINT(クロスポイント)」を10月7日に発売する。
数億点もの点群データをBIMやCIMソフトに読み込むと、動作がぐっと重くなる。そこで「X-POINT」では、付属の「基本フィルター」とオプションの「高性能フィルター」により、点群データから効率的に不要な点群を間引きしてデータ量を減らし、設計業務に使いやすく加工する。
点群が密集しすぎている部分だけを自動的に間引きして、全体的に均一の密度の点群データにする「近傍点フィルタリング」や、たまたま点群に写り込んでしまった虫や鳥などの不要点を消す「ノイズフィルタリング」などを備えている。
このほか、点群から樹木を削除して地表面だけを残す処理を行う「地表面フィルター」も用意されている。
標準機能として点群に三角形の面を張る「TIN」データ作成機能も備えているほか、点群データ付きビューワーを作成することもできる。
このビューワーを相手に渡せば、点群データを読み込めるBIM/CIMソフトがなくても、点群をパソコンで開いて見ることができる。
「X-POINT」の価格は、基本部(表示、編集、基本フィルター、TIN作成などの機能付き)が70万円(税別)、オプションの高性能フィルター(自動、ノイズ、近傍点、地表面など)が30万円(税別)だ。
* * *
現況の地形や建物などBIMやCIMのモデルにする際、3Dレーザースキャナーで点群データにして丸ごと記録しておくのは生産性を高めてくれる方法だ、面倒な現場での計測作業が大幅に減り、必要な部分の寸法を快適な室内でいつでも計測できるので、測り忘れや再計測の手戻りがなくなる。
今回、取り上げたソフトや測量機器以外にも、点群をBIM、CIMで活用できる様々なシステムが市販されている。また、3Dレーザースキャナーのレンタル会社や計測を請け負う測量会社も増えている。
設計と測量の壁を取り払い、より効率的な建設ワークフローを実現するためにも、設計者は点群データを有効活用していくべきではないだろうか。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/。ツイッターやfacebookでも発言している。