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建設プロセス全体の変革を目指す米Flux

 米国サンフランシスコに本拠を置くFlux(Flux.io)も、建設業出身者がほとんどいない建設ベンチャー企業だ。

 創業者でCEOのニコラス・チム(Nicholas Chim)氏は米グーグルの出身。グーグルから独立後、数社のベンチャーキャピタルから出資を受けて「従来の半分の工期、半分のコストで環境性能の高い建物を供給する」という目標を描いて建設ベンチャーの道を歩んでいる。

 現在は、建築や都市計画などの法規制を3Dモデルと連携させて建築可能な空間(通称、鳥かご)をクリック一つで作成できる「Flux Metro」というクラウドシステムと、建物の意匠、構造、設備を内蔵した「建物の種」による自動設計手法を開発している(関連記事)

 昨年12月5日(現地時間)、筆者はFluxを訪問し、CEOのチム氏にインタビューした。

サンフランシスコ市内にあるFluxの社屋(写真:家入龍太)
サンフランシスコ市内にあるFluxの社屋(写真:家入龍太)

Fluxのスタッフ。中央がCEOのニコラス・チム(Nicholas Chim)氏。左が今回の取材を受けてくれたクリス・ラロサ(Chris LaRosa)氏(写真:家入龍太)
Fluxのスタッフ。中央がCEOのニコラス・チム(Nicholas Chim)氏。左が今回の取材を受けてくれたクリス・ラロサ(Chris LaRosa)氏(写真:家入龍太)

 サンフランシスコ市内にある社屋は倉庫を改造した簡素ながらもおしゃれな建物だった。数少ない建築出身のスタッフがデザインを担当し、ガラス張りの会議室やグーグルの社員食堂を思わせるキッチンスペースを備えた快適な2階建て空間に仕上げた。

 ここに23~24人のスタッフが簡素な机を構えて、システムの開発作業に取り組んでいる。スタッフの平均年齢は30代前半という。

天窓がついた2階には緑も豊富(写真:家入龍太)
天窓がついた2階には緑も豊富(写真:家入龍太)

システム開発に取り組むスタッフ(写真:家入龍太)
システム開発に取り組むスタッフ(写真:家入龍太)

グーグルの社員食堂の伝統を引き継ぐ大きなキッチン(写真:家入龍太)
グーグルの社員食堂の伝統を引き継ぐ大きなキッチン(写真:家入龍太)

 同社CEO(最高経営責任者)のニコラス・チム氏は、「建設業界を段階的に改善するのではなく、画期的な変革をもたらしたいというのがFlux設立の動機だった」と語る。

 「自動車産業などでは生産方式が手作業から自動化に変わり、設計は年々改良されて、高品質のクルマを多くの人に低価格で提供できるようになった。それと同じような手法を建設業に当てはめられないかと考えた」(チム氏)。

 3D鳥かごを作る「Flux Metro」は現在、テキサス州オースチンを題材にしてベータ版として公開しているが、当面は他の都市にも水平展開することに力を入れ、2015年の後半にも正式に事業サービスを開始したいという。

 「建物を建設する前に時間が掛かっているのは、周辺地域との合意形成や建築確認の手続きだ。半分の工期を実現するために、まずこの部分に着目した」(チム氏)。

 ビルの建築計画をクラウドシステム上に3Dモデルによって表現することで、周辺の住民や建築行政の担当者も同じように計画を理解できる。そのため、合意形成や建築確認が短時間でスムーズに行えるようになり、建設前の段階に費やす時間を短縮することが期待できる。

 「現在はデータをダウンロードして他のBIMソフトなどに読み込めるようにはなっていないが、将来は計画後の設計システムにデータを渡せるようにしたい」(チム氏)。

建築可能な3D"鳥かご"をクリック一つで作成できる「Flux Metro」(資料:Flux.io)
建築可能な3D"鳥かご"をクリック一つで作成できる「Flux Metro」(資料:Flux.io)