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「建物の種」システムを開発中

 建物の設計を自動化する「建物の種」システムについては、まだ名前も決まっておらず、実用化もFlux Metroに比べるとまだ先になりそうだという。

 「今の建設業は、1つの敷地、建物ごとに、同じような設計作業を行っており、しかも1回きりだ。一方、クルマは5年間ほど何十万台も作られ、その過程で毎年のように設計が改良されていく。建物も同じような設計方法がとれないかと考えた」とチム氏は開発の動機を語る。

 筆者は当初、「建物の種」によって設計する建物に、標準化されたプレハブ部材を使う仕様にすることで、大量生産した安価な部材を使いやすくし、部材の商流さえも同社が支配するビジネスモデルまでを描いているのかと、ややうがった見方をしていたが、そうではないようだ。

 「建物の環境性能を高めるためには、設計の初期段階で建物の向きや形、大きさ、居住する人の数などを検討することが重要だ。そのため、『建物の種』のLOD(設計の詳細度)はそれほど高くない」(チム氏)。

 「『建物の種』を使った設計手法が普及すると、設計者の仕事は今のように1つひとつの建物を設計する際に、毎回同じような作業を繰り返して行う必要はなくなる。良質な『建物の種』をプログラミングすることが仕事になる可能性がある。そしてその種がヒットすれば、設計者の収入もそれに応じて増えることになる」(チム氏)

 将来的には、「建物の種」をRevitなどのアドオンソフトとして使うことも可能だ。しかし、その開発にはまだ着手していない。

「建物の種」のよる自動設計手法(資料:Flux.io)
「建物の種」のよる自動設計手法(資料:Flux.io)

 最後にチム氏は「Flux Metroに興味のある日本の自治体があれば、ぜひ、コラボレーションしたい」と語った。

 日本のシェルフィー、米Fluxとも、スタッフは建設業界の未経験経験者がほとんどだ。にもかかわらず、既存の建設業界の商慣習やビジネスプロセスを大きく変革することを目指している。逆に言えば、「他業界では当たり前のことが、なぜ、建設業界でできないのか」という疑問を持ったらすぐ、果敢に行動できるのは、既存の建設業界のしがらみがない業界未経験者の特権と言えるだろう。

 40~50年間、大きな変化がなかった建設業界のビジネスプロセスを今後、大きく変える原動力となるのは、業界外からの新規参入者かもしれない。