3Dプロジェクターで原寸大の世界を体験

 建物のBIMモデルを残したといっても、どうせモニター画面でみるだけなのでリアルさにはほど遠い、と思う人もいるかもしれない。

 しかし、BIMモデルを3D映画のようにスクリーンに投影し、3Dメガネで見たらどうだろう。

 例えば、仙台市に本社を置くコンピュータシステム研究所(以下、CST)が、2月9日に発売したバーチャル住宅展示場作成システム「ALTA for VR」がそうしたシステムだ。

 同社の住宅プレゼンシステム「ALTA」で住宅をデザインし、その3Dモデルを複数の3Dプロジェクターとスクリーンに上映するものだ。

3D住宅設計ソフトALTAでプランを作成(左)し、壁や床に投影された映像を3Dメガネで見る(左)と、まるで実際の建物に入ったような気分が味わえる(資料:コンピュータシステム研究所)
3D住宅設計ソフトALTAでプランを作成(左)し、壁や床に投影された映像を3Dメガネで見る(左)と、まるで実際の建物に入ったような気分が味わえる(資料:コンピュータシステム研究所)

 このシステムなら、白い床と壁があれば、その場所を何百、何千種類もの住宅の展示場に変身させることができる。

 プロジェクターとスクリーンの数は2面、3面、4面と用意されており、面の数が多いと天井から床まで、部屋の角など、周囲の空間からの“包まれ感”もよりリアルに体感できる。

 専用のコントローラーを使えば、部屋の内外を自由自在にウオークスルーできる。

床と壁の2面タイプの設置イメージ(資料:コンピュータシステム研究所)
床と壁の2面タイプの設置イメージ(資料:コンピュータシステム研究所)

3Dメガネとコントローラー(資料:コンピュータシステム研究所)
3Dメガネとコントローラー(資料:コンピュータシステム研究所)

 用途としては、新築やリフォームでの内装材や間取りなどを施主にわかりやすく提案するのが主だ。

 また、住宅内の奥行きや広がりなども、実物大で体験できるので、図面ではわかりにくかった見通しなどもよく理解できる。

リフォーム前のキッチン(左)と、リフォーム後、対面式キッチンに変更した例(右)(資料:コンピュータシステム研究所)
リフォーム前のキッチン(左)と、リフォーム後、対面式キッチンに変更した例(右)(資料:コンピュータシステム研究所)

 このようなシステムで、歴史的建物のBIMモデルを見ると、既に現存しない建物で会っても、まるで当時の建物の中に入ったかのような錯覚に陥るだろう。そしてCGを見るだけでなく、スケール感も含めて、当時の建物の状態をリアルに体験できるに違いない。

 最近は3Dメガネをかけた人の位置をセンサーで計測し、それに合わせた映像を投影するシステムも開発されている。かがんだり、背伸びしたりするとまるで実際の建物の中にいるように、映像の視点が追従するのだ。