“情物一致”に向かいつつある点群とBIM/CIM
これまで、3DレーザースキャナーやUAVからの空撮によって既存の建物や土木構造物、地形などを点群で3D計測する手法と、建物や土木構造物を3Dモデルで設計するBIMやCIMは、別々に発展してきた。
筆者は施工や維持管理を効率的に行うためには、実物とそっくりの3Dモデルを同時並行に運用する“情物一致”が不可欠だと、何度も当欄で書いてきた。今回のSPARではまさに、情物一致を実現し、建設業の生産性を向上させることをテーマとした展示や講演が目立った。
例えば2ページ目で紹介した「LOA」と「解像度」は、情物一致の度合いを定量化したものと言える。
今回は講演者として米国のBIM界で有名なドッジ・データ・アンド・アナリティクス社(旧・マグロウヒル・コンストラクション社)のスティーブ・ジョーンズ氏が初めてSPARに招かれ、BIMで建物を設計、施工するワークフローで点群データがどのように活用されているかについて発表した。
また、BIMソフトの大手ベンダーである米国オートデスクは、点群データによって現実の世界をBIMモデルなどに取り込んで設計を行う「リアリティー・コンピューティング(Reality Computing)」という新しい概念を提唱した。
これらの出来事は、点群とBIMとの距離が縮まりつつあることを象徴するものと言えそうだ。