UAVやロボットが並ぶ台湾大学の研究室
台大BIM研究センターの母体である台湾大学でも、BIMに限らずICT(情報通信技術)をフルに活用した研究が行われていた。
まずは建設ロボットやUAV(無人飛行体、ドローン)などを研究している研究室だ。製作中のロボットやUAVの機体や部品、工具類がところ狭しと並ぶ室内は、とてもこれまでの土木工学科とは思えない“オタク”度満点な雰囲気に満ちていた。
その研究室で目に付いたのは、シマウマ柄のロボットだった。自動制御のクレーンで、建物の部材を所定の位置に設置する実験を行っていた。
続いて見学したのは、工作室だ。建築設計事務所や建築学科などの工作室では、レーザーカッターをよく見かけるが、台湾大学の工作室には「ウオータージェット」で金属や木材をパワフルに切断できるマシンが置いてあった。
また、週7日・24時間稼働のコンピューター室では、吊り橋の3次元モデルをモニター画面に表示して模型と比較しながら検討する、熱心な学生の姿があった。
華やかだったのは、大学4年生を対象としたワークショップの部屋だ。女子学生が曲線を描く橋梁模型に荷重を作用させて、端部の反力を測定する実験などを行っていた。
この日は中国・上海の同済(トンジ)大学など他校の学生も交えて、合同でワークショップを行っていた。
土木工学科の建物が完成したのは2008年で、2階部分が免震構造となっている。あえて基礎部分を免震にしなかったのは、人工地盤などを整備した後、その上に建物を建てる場合を想定した技術開発を行うためとのことだった。
このほか、土木工学科の隣に建つ地震工学の研究棟は、5m角の振動台が設置され、研究者が実験準備のための試運転を行っていた。完成当時はアジアで最大の振動台だったという。
こうして台湾大学の訪問を終え、日本に帰国した筆者には、驚くべきことが待ち構えていた。
台湾大学土木工学科の建物の壁には世界地図が張ってあり、海外からの訪問者は小旗に名前を書き、自分の国のところに立てることになっている。そこで筆者も地図の日本列島に1本の旗を立ててきた。今年は日本からの訪問客は筆者が初めてだったようで、旗は1本も立っていなかった。
――その様子を写した写真がナント、台大BIM研究センターのFacebookページに説明付きで掲載されていたのだ。
台大BIM研究センターには、台湾や海外を問わず、産官学のBIM関係者が集まりたくなる魅力が満ちているようだ。