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振動センサーで斜面解析をシンプルに
「土砂斜面の危険度解析技術」(NEC)

 自治体が土砂災害に伴う避難勧告や指示を発令する際の判断情報として、都道府県や気象庁は、「土砂災害警戒情報」を共同で発表している。

 また、一部の自治体では斜面に監視カメラやワイヤセンサー、傾斜センサーなどを取り付けて、土砂災害の早期発見に努めている。

 こうした背景の下、NECは今年4月、土砂斜面の危険度を計測できるデータ解析技術を開発した。

 土砂斜面崩壊の危険度を土中の水分量だけでリアルタイム、高精度に算出するという技術で、NECによると世界初だという。

島根県津和野町で行われている実証実験の現場(写真:NEC)
島根県津和野町で行われている実証実験の現場(写真:NEC)

計測データの中継設備(写真:NEC)
計測データの中継設備(写真:NEC)

 同社は島根県津和野町で、このシステムの実証実験を開始した。

 斜面崩壊の危険度を予測しようとしたとき、土質力学を学んだ技術者だと、土砂の粘着力や摩擦力や土粒子の間に働く間げき水圧、重量をもとに、円弧すべり理論などで安定計算を行う、という考え方になるのではないだろうか。

 この考え方に則して計算に必要な個々のデータを得るためには、斜面崩壊の危険性がある現場では、土中水分計、間げき水圧計、ひずみ計といった様々なセンサーを取り付けることになりがちだ。

 一方、NECが開発した手法は、「土砂の重量」「水圧」「土砂の粘着力」「土砂の摩擦」など、降雨量により変化する様々な指標データを「土砂に含まれる水分量」だけから算出できるようにした。

 「本当にこんなことができるのか」と思う土木の専門家もいるだろうが、同社が人工斜面による降雨実験を行った結果、「危険あり」と判定してから10~40分後に実際に斜面崩壊が発生したという。

 この手法を使うと、現場には「土中水分計」だけを取り付ければ足りることになり、設置が必要なセンサーの数は従来に比べて約3分の1に減らすことができる。

 ただ、土中水分計は、電極の経年劣化や土中でイオン移動により土質変性が生じやすい。このため、定期的な交換や測定場所の変更など、長期間の測定に課題があった。

 そこで津和野町での実証実験では、この問題を解決するため、あるテストしている。土砂の振動特性を振動センサーで計測し、土砂斜面の崩壊の危険度を把握しようというものだ。

 NECは、「土砂の重量」「土中の水圧」「土砂の粘性」「土砂の摩擦」と、土砂の振動特性に相関関係があることを明らかにした(同社によると世界初だという)。この相関関係から土砂斜面の崩壊の危険度を把握することに成功すると、土中水分計を長期間の測定に適した振動センサーに置き換えることができる。