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 本連載ではこれまで、インフラ維持管理の効率化や高度化へのICTの活用について、インフラ管理者の視点から考えてきた。今回は、インフラの維持管理への住民の参画とICTの活用について述べたい。

インフラ維持管理への地域住民の参加

 従来、道路の維持管理は、道路管理者が巡回・巡視・点検・補修までを一貫して実施し、道路の安全・安心を確保してきた。しかしながら、近年の厳しい財政状況に加え、施設の老朽化の急速な進行などによって、これまでのように行政のみで、インフラの維持管理を適切に行っていくことは困難になってきている。

  こうした中、長崎大学が中心となり、地域住民などに道路の異常の通報を依頼するとともに、大学が中心となって技術者養成カリキュラムを作成し、通報者である地域住民などの技術レベル向上を図る取り組みが行われている。今後の新たな道路維持管理の仕組みを考える上で参考となりそうだ。

観光ナガサキのインフラを支える“道守”養成ユニットの概要

  観光立県を目指す長崎県には、教会群や軍艦島などの観光資源が離半島に点在している。これらを結ぶ渡海橋や港湾などの交通インフラ施設が多数存在し、その維持管理に関する費用や人材の確保が課題となっている。そこで、長崎大学インフラ長寿命化センターでは、長崎県等と密接に連携を図り、文部科学省の科学技術振興調整費《地域再生人材創出拠点の形成》の採択を契機に、橋やトンネルや道路の維持管理を行う人材である“道守”を養成する教育プログラムを開始した。

図1 長崎大学工学部が中心となり、道守養成ユニットを運営(資料:第10回インフラ・イノベーション研究会「観光ナガサキを支える“道守”養成ユニット(長崎大学 工学部 構造工学科 教授 松田浩氏」)
図1 長崎大学工学部が中心となり、道守養成ユニットを運営(資料:第10回インフラ・イノベーション研究会「観光ナガサキを支える“道守”養成ユニット(長崎大学 工学部 構造工学科 教授 松田浩氏」)

  教育プログラムでは、長崎県内の地元企業や市民を対象に、各種技術レベルの“道守”を養成し、交通インフラ施設の維持管理に貢献するとともに、新たなインフラ維持管理の技術と産業を振興し、観光と産業の両面から地域再生と活性化を支援することを目的としている(図1)。

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