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 今から十数年前、記者になりたてのころのことです。取材を終えて疲れていたので、地下鉄のなかでうとうとと眠りかけていました。すると、隣に座った二人の女性の会話が耳に入ってきます。「明治座が建て替えになるらしいわよ」「そうなの。まったく知らなかったわ」「なんだか大きなオフィスビルになるらしいのよ……」。

 当時、私は記者として都内のオフィス開発の動向を担当していました。会社に戻ってきて地下鉄の会話の断片を思い出したものの、聞いたことのない話だったので、単なるうわさ話として片付けてしまいました。その半年後、明治座が老朽化した劇場を建て替えて、オフィスと劇場からなる高層ビルを建設することが明らかになりました。「しまった」と思いました。地下鉄で話を聞いた時に取材を始めておけば、どこよりも早く報道できたはずです。あの時、人のうわさ話が貴重な情報源だということを痛感しました。

 日経不動産マーケット情報は、事業用不動産の売買情報、企業のオフィス移転事例などを日々、報道しています。ほかの新聞や雑誌には出ていない情報を提供していることが、この媒体の強みです。取材を始めるきっかけは様々ですが、うわさ話からスタートしたニュースも多いのです。取引がうわさされている物件の近くにある店舗や住民に聞き込み取材をして、状況証拠を積み重ねたうえで、買い主や売り主に事実をぶつけることもあります。

 ただのうわさ話に終わって、空振りすることもあります。それでも、まだ知られていない情報をいち早く読者に提供しようと、編集部の記者はいつもうわさ話に耳を澄ましています。街を歩いていて工事現場や解体中のビル、更地が目に入ると、少々離れたところにあってもどうしても足を運んで確認します。ときには、ビルの取引や大規模開発のニュースにつながるからです。

 日経不動産マーケット情報のウェブサイトには、「だれが、どのビルを、いくらで、何のために、買ったのか、借りたのか」「だれが、何のために、どんな建物を開発しようとしているか」といったニュースがずらりと並んでいます。これらのニュースを眺めることで、不動産・建設市場のいまの姿が見えてきます。ニュース記事の一部は、読者でなくともご覧いただけます。編集部によるコラム「ここだけの話」も、週1回のペースで連載中です。ぜひ、一度、弊誌のウェブサイトにお立ち寄りください。