ケンセツ的視点
目次
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建築版「人のふり見て我がふり直せ」
2月中旬にA邸を検査したのは、さくら事務所(東京都中央区)のホームインスペクターで一級建築士の林清隆さんだ。これまでに会った同社のインスペクターは検査・診断専門の建築士だったが、林さんは建築設計事務所の所長という顔も持っている。
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両手に抱えきれないくらいの――ソーシャルキャピタルという財産
東日本巨大地震から7日目を迎え、不安と疲れが色濃く漂っている。建設分野には直接は関係のない話かもしれないがご容赦いただきたい。関東で被災したある人の話。被災した状況を少しだけブログに書いたら、【信じられないくらいいっぱい返信が来た】。「カセットコンロある?」「電池だいじょうぶ?」「パン、送ろうか?」
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「睡眠」「食事」そして「笑い声」私たちにできること
日本列島が東日本巨大地震(東北地方太平洋沖地震)に襲われてから4日目を迎えた。この状況下で、われわれにできることは何か。個人レベルでは節電や確実な募金、パニックを防ぐためのデマに惑わされない落ち着いた行動などがある。さらにその先の建設や家づくりのプロとしてできることは何だろうか――。
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大地震後の超高層、危険度判定の遅れで1カ月使用不能も
突然、めまいがするような不思議な感覚に襲われた。オフィスがある東京都港区の26階建て超高層ビルがゆらりゆらりと揺れたのだ。3月9日午前11時45分ごろ発生した、三陸沖を震源とするマグニチュード7.3の地震によるものだ。一抹の不安が一瞬、頭をよぎった――。
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建築探訪に最適!まちマスターを試してみた
ケンプラッツでは2月から「まちマスター」をスタートしている。過去に報道してきた記事群を地図上で表示する新サービスだ。2月下旬、静岡に出張が決まった。仕事柄、出張先ではいろいろな建築や住宅を見て回ることにしている。これまではインターネットや書籍などで地方の建築案内を検索していたが、今回はまちマスターに…
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大臣認定違反で露呈した無責任の構図
複数のサッシメーカーが防火性能の不足しているアルミ樹脂複合サッシを販売していたことが問題になっている。昨年10月6日に三協立山アルミ、今年1月28日にトステムで大臣認定違反が発覚したが、今頃になって大畠章宏・国土交通大臣が大騒ぎしている。
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覚めない夢では困るモデルハウス
先日、住宅展示場のモデルハウスの内観ばかりを撮った写真展を都内で見る機会があった。モデルハウスの写真といっても広告写真や建築写真ではない。モデルハウスを題材にした美術作品としての写真を、現代美術を扱う画廊で鑑賞した。展覧会名は「白いユートピア」、撮影者は井上麻衣さんという若い写真家だ。
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無人と化した地に長期優良住宅が残る未来
これは恐ろしい未来だと感じた。昨年末に国土交通省の国土計画局が公開した2050年の日本の国土についての予測データである。資料は、2050年には日本の国土の6割以上の地点で現在の半分以下に人口が減少し、21.6%は無居住化、つまり人が住んでいない状態になると予測する。
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住宅エコポイントは成功か失敗か、最新データを読む
当初は2010年12月末着工分までで終了予定だった住宅エコポイント。10年11月26日に補正予算が成立し、2011年も継続することになった。「成果あり」と評価したからこそ、国は継続を決定したに違いない。だが、本当に成果は上がっているのだろうか。
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16年目の1月17日を迎えて
また1月17日がやってくる。6000人を超す死者を出した阪神・淡路大震災が起こった日だ。今年で16年目を迎える。地震などの自然災害が相手では、被害を未然に防ぐには限界がある。そこで被害は起こり得るとして、被害をできるだけ軽減する「減災」の取り組みが重要視されるようになってきた。住宅でも減災の考え方を…
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全焼した老舗旅館に刻まれていた「歴史」
「近江八幡の中村屋で火災」の報に、思わず声を上げてしまった。実は火災があったちょうど3カ月前の2010年9月10日、その老舗旅館に宿泊したばかりだったのだ。新聞記事によれば、近江八幡市武佐町にある築約200年の老舗旅館「中村屋」は12月10日の早朝、漏電が原因と思われる火災で全焼した。幸いにもけが人…
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南アルプスを越えられなかった中央自動車道
いったん南アルプス経由と決まったものの、後に伊那谷経由へと覆ったのが中央自動車道だ。ルート変更を巡る逆転劇があったのは半世紀前のこと。当時の記録が山梨県身延町の「身延町誌」や国会会議録検索システムなどに載っている。歴史を少し振り返ってみよう。
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10年間で変わった「読まれる記事」の傾向
表は2010年1月号から11月号で読者からの評価が高かった記事のランキング。リフォーム施工の注意点に関する記事が最も読まれ、シロアリやヒラタキクイムシなどによる食害を含めた住宅の劣化に関連する記事が数多くランクインした。
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リフォームという冒険に“誤算”は付き物
このグラフは、リフォーム工事の大半が、他社の建てた住宅を対象とすることも表している。例えば築数十年を経たような住宅は、図面が残っていたとしても現況と異なることがよくある。リフォームの依頼主はたとえ新築時の建て主と同じでも、住宅の現況を十分に把握しているとは限らない。リフォーム実務者は、仕上げ材を剥が…
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PFIの特別枠要望に“D判定”、蓮舫大臣もショック
2011年度予算の「元気な日本復活特別枠」に内閣府が要望した民間資金等活用(PFI)事業支援の152億円が、優先順位をつける政府の評価会議でD判定を受けた。評価はA~Dの4段階。Dは「事業の内容での評価が困難」という最低ランクだ。予算が認められる可能性は極めて低い。12月7日の内閣府の記者会見で判定…
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構造計算書偽造事件から5年
5年前の今日、2005年11月17日に構造計算書偽造事件が発覚した。国土交通省の発表は夕方だった。一報を受けて、「これは大変なことになるぞ」と日経アーキテクチュア編集部が騒然となったのを覚えている。その日以降、偽造のあったマンションや住民、姉歯秀次・元一級建築士、ヒューザー、イーホームズ、木村建設な…
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築20年余の住宅、「資産価値ゼロ」の常識は覆るか
千葉県印西市内に建つ築20年あまりの木造戸建て住宅。オーナーのKさんが現在、約3500万円で売りに出している。同じころに建った近隣の住宅と比べると1000万円ほど高いという。不動産市場の常識では、築20年以上となると住宅自体の資産価値はほとんどゼロと見なされてしまうが、Kさんはこの常識にとらわれてい…
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「9・11の標的をつくった男」のプレゼン力
映画「キングコング」のリメイク版でキングコングは、世界貿易センタービル(WTC)に上り、墜落する。2001年9月11日に起こった米国同時多発テロ事件で、WTCは倒壊する。米国資本主義の象徴とも言われ、テロの標的になった。そのWTCの設計者である日系米国人、故・ミノル・ヤマサキ氏の評伝が「9・11の標…
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北海道ならではのデータセンター誘致
北海道石狩市と北海道は、土地の安さ、自然災害の少なさ、札幌からのアクセスの良さといった立地条件を生かし、データセンター誘致を積極展開している。北海道の寒冷な気候を生かして外気冷房や雪氷冷房を取り入れれば、大きなエネルギーコスト削減効果が生まれるという点もアピールしている。
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民間提案はインセンティブあってこそ
官民連携ビジネスが、徐々に活発になる気配だ。民間に質の高い提案を求めるなら、提案する気を促すインセンティブ(報奨や動機付け)が不可欠だ。