ケンセツ的視点
目次
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「気韻生動」を体感しに豊島美術館に行く
こんなの見たことない――。10月16日の内覧会に参加した誰もが、こう思ったのではないだろうか。その「作品」は、西沢立衛建築設計事務所が設計し、内藤礼氏がアートを担当した豊島美術館だ。瀬戸内国際芸術祭が開催されている香川県豊島にある
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住宅がつながり、そして取り残されるのは…
「取材をすればするほど、住宅からだんだん離れていく気がする」──。いわゆるスマートハウスの取材を進めている編集部の記者が、ポツリともらした言葉だ。ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)、リチウムイオン蓄電池など耳になじみのなかった新技術がどんどん流れ込み、住宅は予想を上回る速度でつながり始…
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「建て主寄りすぎる」との意見に思うこと
日経ホームビルダーの「クレームに学ぶ」や「顧客のホンネ」のシリーズ記事をケンプラッツで公開すると、読者から「内容が建て主寄りすぎる」という趣旨のコメントをもらうことがある。「クレームに学ぶ」の担当記者としての思いを整理してみた。
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「都市に目を向けよ」──ウェブ世代が問う建築展
「五七五七七」の句を詠(よ)み継ぐ連歌のように建築をつくり、街並みをつくる──といった提案を、過去に何度か聞いたことがある。このうち、生々流転する「都市」を対象とし、建築家とアーティストによる連歌形式のプランニングのシミュレートを試みたのが、建築家の磯崎新氏による1997年の展覧会『「海市」-もう一…
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省エネ規制がオフィスワーカーの生産性を向上させる?
「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」と「東京都環境確保条例」の改正で、オフィスも省エネ対応が迫られている。そのためもあってか、日本のオフィスではいま一つ普及してこなかったタスク・アンビエント照明(以下TAL)への関心も、少しずつ高まりつつあるようだ。
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成果はまだか民主党、給与減で不満が募る
「同じポジションには2年間くらいいないと、しっかりとした仕事の成果を出すまでには至らないと思っている」。前原誠司氏は国土交通大臣退任の記者会見でこう述べた。政策が実行に移されて成果が出るまでには時間がかかる。現実は発言とおりかもしれないが、「2年も待っていられない」というのが多くの国民の思いではない…
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リニア新幹線の審議で見えてきた問題点
2027年の開業を目標に東海旅客鉄道(JR東海)が進めているリニア新幹線の建設計画について、国土交通大臣の諮問機関で審議が進んでいる。月に1度のペースで9月29日までに8回の会合を開き、関係者や有識者に対するヒアリングを終えた。審議が折り返し地点に到達した今、見えてきた問題点を整理する。
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JAS製材はなぜ普及しないか?
市場には品質や性能の不明瞭な製材があふれている。品質や性能を規格に基づき確かめて、表示しているJAS製材は、市場に流通する製材全体のわずか2割だ。構造用集成材はほぼ100%がJAS材であることと比べて、極めて低い割合だ。JAS製材はなぜ普及しないのか。
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菅首相“資格羅列”演説を裏読みすると…
“菅か小沢か”で民主党を二分した先の党首選。選挙戦の最中に新聞社や通信社が行った無作為抽出方式の世論調査と、ウェブの動画サイトなどが行った視聴者参加型の同時進行のアンケート調査では、どちらを支持するかで“真逆”の結果が相次いだ。
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“容積飛ばし”で老朽化マンションを救う
政府が9月10日に閣議決定した経済対策で、老朽化したマンションの建て替えを促進するための容積率緩和が盛り込まれた。容積率の上限いっぱいで建てられたり、既存不適格だったりする老朽化マンションは建て替えが困難だからだ。しかし、今後も建て替えるたびに容積率を緩和し続けるわけにはいくまい。床面積を増やす以外…
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CASBEEが映す「建築一流国」の閉塞感
新興国を中心にして進む数々の新都市開発において、日本の建設会社や設計事務所の存在感はなぜ薄いのか――。そんな疑問から出発した記事が、日経アーキテクチュアの誌面を刷新した9月13日号の特集「『建築一流国』再生」だ。
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「木は生きている」という誤解
「木は生きているから…」。家づくりの現場でごく普通に耳にする言葉であり、顧客などに対して口にした経験のある実務者もいることだろう。この「木は生きている」という表現に異論を唱える研究者がいる。
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新築建て主のリフォームでの“浮気”を阻止できるか
ケンプラッツに登録している建築実務者を対象としたアンケートで、新築を手掛けた住宅の建て主がリフォームを他社に依頼したことはあるかと尋ねた。結果は下の円グラフの通り。回答者の39.7%が「ある」と回答した。「わからない」の24.0%も、建て主との関係断絶を認めたに等しいから、リフォームの仕事を他社に持…
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メーカーで解決できない太陽光発電の雨漏り
日経ホームビルダー9月号のリポート「太陽光発電パネルが抱える雨漏り対策の難題」という記事を書いた。太陽光発電パネルの雨漏り対策が難しいとした理由はいくつかある。中でも最も気になるのは、現在の設置部品やパネル施工マニュアルでは解決できない問題があることだ。
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LEDが住宅内の照明のあり方を変える
アイドルの“しょこたん”こと、中川翔子さんが手に持つものは、電球か照明器具か…。記者会見の席で製品の説明を聞きながら、ふとそんな疑問がわいてきた。新たな照明製品としてLED照明が普及すれば、住宅の照明設計の考え方も変わってくる可能性がある。
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PPP・PFIの募集開始、国交省に提案しよう
国土交通省は9月1日から「新たなPPP/PFI事業」に関する提案募集を開始した。8月23日から始まった全国説明会には、主催者の想定を上回る数の参加者が足を運んでいる。自治体、建設会社、建設コンサルタント、建築設計事務所、商社、金融機関、団体など、参加者の職種は幅広い。寝ている人はほとんどいない。どの…
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不動産取引に登場するPALとERR
立地や賃料、利便性、耐震性はほぼ同じだが、環境性能が大きく異なる二つのビルがあったとしたら、テナントはどちらを選ぶだろうか。答は明らかだ。テナントや投資家から「ところで、このビルのPALとERRはどれくらいですか」と聞かれる日が、来るかもしれない。
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住宅エコポイント、どう拡充する?
前原誠司国土交通相は8月20日、住宅エコポイントの期間延長・拡充について言及した。現時点では具体的な方向性は見えないが、気になるのは何をどう「拡充」するかだ。
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定期講習を受けないと建築士資格はどうなる?
この夏、大学時代の友人と飲む機会があった。皆、建築系学科卒で一級建築士だ。その飲み会の場で、建築士資格が話題になった。「建築士定期講習を受けていないのだが、自分の資格は大丈夫なのだろうか」「そういえば会社から講習を受けるように言われていないぞ」「いつの間にか資格が消滅していた、なんてことはないだろう…
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不動産会社でこんなに違う、オフィスビルの環境性能
不動産会社や鉄道会社など、大規模なオフィスビルを複数手がける建築主ごとに建物の環境性能に関するデータを分析した結果、断熱性能や設備の効率を示す指標に大きな違いがあることが分かった。東京都の公表データを基に集計した。