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 連載の第2回でも触れたように、公示後に黒川紀章氏が行った演説や記者会見では、何度も安藤忠雄氏の名前が出てきた。その多くは、「安藤氏への対抗意識があるのではないか」という憶測を吹き飛ばそうとしたものだ。

 例えば、3月29日に日本記者クラブで開催された会見で、安藤氏への嫉妬の有無を尋ねられた際に、黒川氏は次のように主張した。「石原氏が知事になったときに7人の建築家を推薦した。伊東豊雄と安藤忠雄、隈研吾、團紀彦、山本理顕、長谷川逸子、妹島和世だ。この7人は私が何十年と育ててきた連中だ。私が推薦した人が石原知事に選ばれて仕事をしていることは非常にうれしいことだ。嫉妬なんてあるわけがない」。

3月29日に日本記者クラブで開催された会見で自らの政策を説明する黒川紀章氏(写真:日経アーキテクチュア)
3月29日に日本記者クラブで開催された会見で自らの政策を説明する黒川紀章氏(写真:日経アーキテクチュア)

 そして、黒川氏はこう続けた。「築地の市場の移転を回避するために、施設を2層にするように改修して面積を2倍にするアイデアを記者会見で披露した際に、『その設計は黒川氏が手がけるのか』という質問があった。私は安藤忠雄だと答えた。私は彼を応援している」。

 安藤氏の名前を出した会見や演説では、安藤氏の実績に比べて自らの実績が優れているという趣旨の発言も繰り返した。建築家としてのプライドがそうさせたのかもしれない。しかしその結果、黒川氏が安藤氏を強く意識しているという憶測は一段と深まっていった。

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