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 予定価格を大きく割り込んで低入札価格調査の対象となる「低入札」は,もはや日常的になっている。多くの工事で原価割れが危ぶまれる一方,国土交通省が2007年3月にまとめた調査では,施工計画通りに進めば,営業利益ベースで黒字を達成できそうな低入札工事もあることが判明した。

 同省は工事名を明らかにしていないが,日経コンストラクションの取材によると,大成建設が2006年3月に25億700万円で受注した「赤岩トンネルその1工事」とみられる。予定価格は39億4656万円。落札率は63.5%だった。


2007年3月時点で約650mの掘進を終えた赤岩トンネル。全長2661mで,新潟県阿賀町で建設中だ。その1工事は2032mをNATM工法で掘進する。工期は2009年3月まで (写真:日経コンストラクション)

 大成建設は契約前の低入札価格調査で,「工期の短縮などによって,約11億8000万円の削減を図る」と答えた。「設計の標準案よりも190日短い日数で掘進を終える計画だ」と同社の小杉勝之所長は話す。

 同社が190日も短縮できるとする理由は,日経コンストラクション4月13日号の特集「低入札を克服するコスト戦略」に書いた。同特集では,合計七つの低入札工事を取り上げた。各工事に共通するのは,擁壁の施工方法や切り土した土砂の運搬計画など小さな工夫の積み重ねだ。

 低入札工事を任された各現場の所長が最も気を配っているのは,事故やトラブルで工事を止めないこと。1日でも工事が止まれば,機械の賃貸料や現場管理費など100万円単位の出費を覚悟しなければならないこともあるからだ。

 例えば,「掘進に使う機械が故障しないように対策を施している」と大成建設の小杉所長は言う。トンネル工事では通常,土曜日や日曜日などの休工日に機械を点検する。加えて同社は,下請け会社の保守員2人を現場に配置。昼間と夜間の作業員が交代する際などにも毎日,点検している。さらに,トンネルの坑口付近には,1時間当たり150m3の処理能力を持つ濁水処理設備を設置。発注者が積算で見込んだ5倍の能力を持たせて,トンネルからの突発的な湧水に備えている。

 低入札工事だからこそ,あえてお金をかけて事故やトラブルが起こらないように気をつける――。これが,低入札を乗り越えるための要点だと感じた。