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 震災においては住民だけでなく、様々な対応に追われる行政の担当者もまた被災者だ。3月25日に発生した能登半島地震でも、このことを強く感じる出来事があった。震災発生から3日後、輪島市職員への支援で現地入りしていた調査会社の人から、「被害調査に必要なデジタルカメラが足りずに、市の職員が困っている」と連絡を受けたときには、正直、虚をつかれた。住民だけでなく、行政も必要な物資が足りない状況にあることに思いが至らなかったのだ。

 輪島市の職員は、震災後すぐに住宅の被害調査に乗り出した。罹災(りさい)証明をまとめるための調査で、いずれ各種の補助金や固定資産税の減免措置を受ける際の根拠となる。調査では、被害状況をいち早く写真で記録しなければならなかった。住民が自らの判断で被災住宅を解体してしまうと被災状況がわからなくなり、後に支援を受けられなくなる可能性もある。しかし、輪島市が所有するデジタルカメラの台数は圧倒的に少なく、メディアや規格もばらばらだった。充電も充分にされていない状態で、メモリーカードの容量も不足していた。職員は写真を撮っては市役所に戻ってパソコンに保存し、また現地に取って返すという作業に追われていたという。

 カメラメーカーとの付き合いがある社内の担当者に相談したところ、オリンパスイメージングがすぐに支援を決断した。電話を受けた担当者の判断で、その日のうちにデジタルカメラ10台、メモリーカード10枚のほか、充電池やUSBケーブルなどを発送する準備が整った。倉庫から製品を取り出すと時間がかかるため、同社がプロモーション用として手元に置いていた備品をかき集めた結果だった。さらに1週間後には、カメラ5台、電池10台などを追加で発送している。オリンパスイメージングの支援によって、被害を査定する業務の効率が上がっただけでなく、職員の士気向上にもつながった。調査会社から聞くと、カメラが輪島市に届いたとき職員は大喜びしたそうだ。

 能登半島地震では、行政の支援体制の整備が課題として浮かび上がった。罹災証明の調査に携わることができるのは、原則として公務員だ。一般のボランティアを募ることができないため、動員できる人員が限られる。能登半島地震では、新潟県中越地震を教訓に組織された行政職員による「ネットワークおぢや」が応援に駆けつけるなど、支援体制は徐々に整いつつある。調査会社によると、今後も被害調査の実務経験者によるネットワークを広げて、煩雑な調査を効率的に進めるための支援体制づくりが急務となっている。

 あわせて、調査に必要な機器を被災行政に届けるしくみも必要となる。オリンパスイメージングは、被災地にデジタルカメラなどをいち早く届ける体制を整えようと、社内で検討を始める予定だ。その後、輪島市では地元企業からも業務に必要なスキャナーの提供を受けたという。輪島市の職員は「将来の被災地にもこのような動きがあれば、関係職員が救われると思いました」と話している。