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「サステナブル建築」のわかりやすい説明を

 世の中、評価ばやりだ。レストランからホテル、病院、家電製品、自動車、各種サービスに至るまで、ユーザーの評判があっという間に広がる。なぜ、これほど評価や格付けがはやるのか。背景には、製造業をはじめ食品、金融、公共事業などのあらゆる分野で連日のように製品やサービスの質を問われる事件、事故が頻発している中で、より良い製品、より安心できるサービスを選択したいという消費者の切なる願いがある。

 そこに、建築物の環境性能を総合的に測る評価システム、「CASBEE(キャスビー)」が登場してきた。建築物の耐久性・長寿命化、省エネ、省資源・循環、快適性などの性能が高いとCASBEEの値(建築物の環境性能効率=BEE)が大きくなり、「サステナブルな建築」と評価される。現在の生活環境、都市環境、地球環境を悪化させずに次世代に引き継ぐために、効果が実証されている方策を建物の設計メニューに取り込んでいこうという趣旨が、建築界ではそれほどの困難を伴わずに理解されるかもしれない。しかし、なぜサステナブルな建物をつくらなければならないのか、ビルの所有者や建築主、利用者、居住者にどんなメリットがあるのか、地球環境にどんな恩恵をもたらすのか――といったことを、一般消費者やビル所有者、建築主に説明するとなると、途端に難しくなる。戸建て住宅の建て主にまで対象を広げようとすれば、なおさらだ。

 そもそも「サステナブル」という言葉の定義が難しい。「持続可能な」と訳されるが、建築に適用すると、どんな意味を持ってくるのか。日本建築学会は、「サステナブル・ビルディング」を、「地域レベルおよび地球レベルでの生態系の収容力を維持しうる範囲内で、建築のライフサイクルを通しての省エネルギー・省資源・リサイクル・有害物質排出抑制を図り、その地域の気候・伝統・文化および周辺環境と調和しつつ、将来にわたって人間の生活の質を適度に維持、あるいは向上させていくことができる建築物」と定義している。

 このサステナブル建築には、様々な効能がありそうだ。建築物の環境性能を表すBEE値が大きい建物は省エネ性能が高く、二酸化炭素の排出量が少なくなる傾向にあるという。しかし、「サステナブル」の効能は、それだけではないはずだ。BEE値が大きい建物の居住者はより快適で健康になるといった効能が実証されれば、それもわかりやすい説明にはなる。

 さらに、例えば、ある都市の既存建物のBEEの平均値が2.0であったとし、今後、その都市に建設される建物が平均でBEE値3.0を目指すとしたら、30年後に都市全体で地球環境にどのような貢献ができ、市民生活がどれほど快適になるのか、あるいは悪化が防げるのか、マクロの視点に立った分析も聞かせてほしいところだ。CASBEEが建物の資産評価の一指標に加わることも期待されているが、そのためにも、効能を示す学術的な研究が待たれよう。

◆NEXT:建築界全体で発注者への啓蒙活動が必要