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黒川氏が国土交通大臣宛に示した意見書
黒川氏が国土交通大臣宛に示した意見書

 準備不足のまま施行に突き進んだ改正建築基準法は、建築生産システムに混乱をもたらした。建築確認業務の停滞によって経営などに不安を抱え始めた建築実務者からは、改正建基法に伴う厳格な審査や手続きに対する不満の声が高まっている(詳細は日経アーキテクチュア2007年10月22日号の特集「建基法不況」を参照)。2008年12月までに施行予定の改正建築士法に対しても、不安を感じている実務者は少なくない。一級建築士の資格を保有する設備技術者を十分に確保できるか否かなど、建築生産システムに新たな混乱が生じる恐れがあるからだ。

 国土交通省が中心となって進めてきた制度改正の議論では、主に建築関連の団体の代表者から意見が聴取されてきた。一方、建築界で発言力を持つ著名な建築家個人としての発言はあまり聞こえてこなかった。そのなかで、黒川紀章氏は2005年12月16日、当時の国土交通大臣であった北側一雄氏に対して意見書を提出。制度改正について、建築家としての姿勢を示した。

 黒川氏が意見書で示した要望は4項目ある。一つ目は構造や設備を含めて総合的に設計上の責任を果たす設計事務所(建築家)の役割を、いわゆる「意匠建築士」のように狭い役割に限定しないでほしいというものだ。