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 私立大学の南九州大学などを運営する南九州学園(本部:宮崎市)は10月29日、宮崎県都城市に対し、新設する都城キャンパスの建物として都城市民会館を貸与してほしいと要望書を提出した。同会館は1966年に完成した菊竹清訓氏の代表作の1つで、怪獣を連想させるほどダイナミックな外観でも知られている。市は2007年度中の取り壊しを決定していた。

 南九州学園事務局の担当者は、同会館の貸与を願い出た理由をこう説明した。「私立大学には、例えば早稲田大学の大隈講堂のような大学の“顔”になる建物が必要だからだ。文化的価値の高い建物である都城市民会館を、本学の“顔”にしたい」。都城市役所は10月30日、南九州学園の要望について「いまから検討していく」とコメントした。

 南九州学園事務局の職員が引き合いに出した早大大隈記念講堂(東京・新宿区)は10月19日、国の重要文化財の指定を受けることが決まった。ロマネスク様式にゴシック様式を加味したデザインを、文部科学省の文化審議会が「意匠的に優秀」と評価した。1937年に完成した古い建物だが、耐震補強を含む改修工事を施され、早大の“顔”として面目を一新した。

 その一方で、大学の“顔”ではない普通の校舎の命ははかないものだ。早大は11月から、文学部校舎の主要部分である33号館の建て替えに着手する。現33号館は完成が1962年で、早大広報課によれば耐震性が著しく不足していた。「改修して存続させることも検討した。しかし耐震性を満たすには外観デザインが変わってしまうほど大規模な改修が必要で、それではこの建物の芸術的価値を損なうことになると判断した」(広報課)。

 取り壊されるとはいえ、大学当局に芸術的価値を認められたことは、設計者の村野藤吾にとって少しは慰めになるかもしれない。

国の重要文化財になることが決まった早稲田大学大隈記念講堂(写真:KEN-Platz)
国の重要文化財になることが決まった早稲田大学大隈記念講堂(写真:KEN-Platz)

11月中に解体工事が始まる同大学33号館(写真:KEN-Platz)
11月中に解体工事が始まる同大学33号館(写真:KEN-Platz)