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 「建材・設備メーカーは、製品の良いところしか言わない。話半分で疑ってかからないとひどい目に遭う」――。建材・設備ガイドの立ち上げに当たって、建築・住宅の専門家たちにヒアリングした際、多くの人が口にした言葉である。筆者はそのとき、「もはや相手をだましてまで売り込む時代でもないでしょう。メーカーだってそのあたりは分かっている。疑心暗鬼にならずに、しっかりとコミュニケーションをとれば、的確な製品を選択できる体制が築かれているはずです」と答えた。

 しかし、甘かった。大臣認定を偽装取得してまで売り込むメーカーの手口が相次いで白日の下にさらされた。大臣認定制度そのものが抜け穴だらけで、まともに機能していないことも露呈した。試験は、「依頼者責任」という性善説に基づく考え方で実施。JISに倣って、抜き打ち検査もやらないため、申請内容と試験体、市販品が同一のものであることすら保障できない仕組みだ。建材・設備メーカーを“信頼して”運用してきた認定制度は、今回の事件でもろくも崩れ去った。認定制度の抜本的な見直しが避けられない状況になっている。

 大臣認定の不正受験の発覚を受けて国土交通省は11月19日、防耐火関連の構造方法等の大臣認定を取得している1772社すべてに対して、不正受験の有無などについて自主調査するよう依頼した。対象となる大臣認定数は1万3965件。調査期間は12月21日までだ。ただ、この調査で気になる点がある。防耐火関連の構造方法等だけが対象でよいのか、ということである。

 大臣認定制度の仕組みは、ほかの大臣認定品であっても基本的に同じだ。防火・耐火関連の製品以外の大臣認定品についても、「建材・設備メーカーに対する信頼」を前提にした試験を実施して認定を与えてきた。である以上、こうした認定品についても疑わざるを得ない。さらに、今回の自主調査で、建材・設備メーカーが不正取得の事実をまともに告白するとは考えにくい。国交省は「2008年1月ごろから、防耐火材料等の大臣認定を取得した材料の中からサンプル調査を実施し、防火・耐火性能の有無を確かめる」とはしているものの、メーカーが信頼できない状況で、どこまで実効性が上がるかは疑問だ。

 事件を起こしたニチアスや東洋ゴム工業だけではない。世間からは「建材・設備は偽装まみれ」と見られている。建築・住宅の専門家からも「建材・設備メーカーはやっぱり信頼できない」との声が上がる状況で、信頼を取り戻すためには、大臣認定制度だけに頼ることは、もうやめた方がいい。業界を挙げて製品の公開実験に取り組むなど、メーカーが主体的に「衆人が監視できる仕組み」をつくっていくことが不可欠だと思っている。