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 家づくりの過程で、建て主たちはどんなことに感動するのだろう――。顧客対応のヒントが得られるのではないかと考え、最近、戸建て住宅を新築した300人にアンケートしてみた。

 アンケートで聞いたのは「家づくりで感動し、心に残った場面はありますか? あれば具体的に書いてください」という質問だ。

どんな答えが多かったと思います? その結果は、私にとって意外なものだった。

 具体的な場面を答えてくれた約150人のうち、50人以上が上棟や地鎮祭などの「つくるプロセス」を挙げ、これが最も多かった。
 うち27人は具体的に「上棟」「上棟式」という言葉を書いてきた。日常の取材を通じ、言葉は悪いが「最近の建て主はドライで計算高い」というイメージを持っていたので、ものづくりに素直に感動する回答の多さを意外と感じたのだ。

 例えば、以下のような回答があった。

 「上棟であっという間に柱が立ち上がっていったところ」(兵庫、34歳、女性)、「棟上げでは1日でほとんど家の形になったのに感動した」(兵庫、37歳、女性)。ズバリ「上棟の瞬間」(島根、33歳、男性)という回答もあった。

 「棟上げのときに、ただの土地だった所に家らしい建物ができていくのを、すごい!と思いました」(佐賀、29歳、女性)などの声からは、一気に立ち上がる家づくりのダイナミズムに心を揺さぶられ、純粋に感動している様子が伝わる。

 回答を読んでいて、これらの声の主は20歳代、30歳代の若い建て主が多いことにも気付いた。ふだん目にしないからこそ新鮮な感動があるのかもしれない。

 あるメーカーの経営者は今年の年頭所感で「日本の強みはモノに魂を込めるほどのこだわりにある。日本人が培ってきたモノづくりを、お金にかえるような仕組みが必要」と述べていた。非常にストレートな言葉だが、同感である。家づくり、なかでも木造住宅における技術や技能は、まさに「日本人が培ってきたモノづくり」であり、多くの現場技術者は「モノに魂を込めるこだわり」で仕事をしている。

 ものづくりの「途中経過」は、意識して見せようとしなければ認識されにくい。認識されないものは、「存在しないもの」や「価値のないもの」とみなされがちだ。

 完成した「モノ」としての住宅だけでなく、上棟などで「ワザ」の存在を多くの人に見てもらう機会をもっと設けよう。存在を認識してもらうことは、価値を認めてもらう第一歩だ。上棟式は「祭り」の側面ももち、祭りは沈滞した時代の気分を吹き飛ばす効果がある。上棟式を、もっともっと見直したらよいと思う。