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 「質問に回答されたことに敬意を表します。スーパーゼネコン等の粗雑工事が続発していますので、その対処策は顕在化されない粗雑工事の“お手本”であって欲しい。それがリーディングカンパニーの責務です」「回答を公の場でされることはすばらしいと思います」――。千葉県市川市内の超高層分譲マンションの鉄筋不足問題について、ケンプラッツの質問に対する清水建設の回答を3月3日に掲載すると、読者からこんな声が寄せられた。

 一方で「本当に答えになっているの。(中略)コレでは世間の評価は回復しないのではないですか」という意見もあった。確かに清水建設の答は、第三者が現状を理解するのに十分ではない。それでも、説明した姿勢に一部の読者が好感をもったのも事実だ。

 2月26日付の新聞には、エレベーターやエスカレーターのメーカー、フジテックの広告が載っていた。創業60周年を迎えての内山高一社長のインタビューだ。私の関心はただ一つ。2007年に起きたエレベーターのトラブルについて説明があるかどうか。「広告だからネガティブな話には触れていないだろう」という先入観をもって文字を追う。

 予想は裏切られた。内山社長は「当社のエレベーターに関しては、ロープのストランド(金属線の束)切れ、鋼材の強度不足、シーブ(溝付き滑車)摩耗といった問題が起きました。こうした問題を二度と起こさないため……」と答えていた。

 2007年7月、顔に絆創膏を貼って登庁した赤城徳彦農林水産大臣(当時)は、閣議後の記者会見で絆創膏について質問され、かたくなに理由の説明を拒んだ。大臣の仕事とは直接、関係ないからという考えだったのだろう。その結果、マスコミは「説明しない態度」を批判し、大臣は改めて説明をすることになる。

 さて、2月18日付で施工品質確保のための体制強化策を発表した竹中工務店はどうか。この体制強化策と、2007年11月以降に相次いで発覚した施工ミスとの関係についてケンプラッツが問うと、「コメントできない」と回答した。

 質問に答えるのも答えないのも自由である。ただ、同社の企業倫理綱領の「情報の開示」のところには「当社は、株主はもとより、広く社会とのコミュニケーションに努め、必要な企業情報を公正に開示する」と書かれている。ということは、体制強化策を発表した訳は不要な情報という判断か。

 トラブルが発生したとき、発注者や監督官庁には説明を尽くす企業も、その先の社会に十分な説明を怠るのはよくあることだ。「黙っていた方が得」という考えが働くのだろうが、説明をしなければ社会との距離は縮まらない。「コメントできない不幸」と私は名付けている。逆に、潔い説明は共感を呼ぶ。説明する勇気が理解者を増やすのだ。