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 先日、岐阜県にある長良川鉄道の美濃市駅でこんな張り紙を見つけた。

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美濃市の駅舎に張られていた「お知らせ」(写真:日経コンストラクション)

 年度が変わると同時に運賃を約10%値上げする。これを見たとき、地方におけるインフラ設備の切実さを感じた。夜の7時ごろで同駅が無人駅だったせいもあって、周りの静かな雰囲気がそう思わせたのかもしれない。

 改定の理由は、「少子化による利用者の減少」と「施設の老朽化」ということで、どちらも現在の日本社会においては慢性的な問題だ。日本はすでに成熟期にきている。

 成熟期の話といえば、地方のまちづくりなどに携わっている土木デザイナーがあるとき、このような話をしてくれた。

 「地方都市を魅力的で人が集まるようにするならば、専門家が関与し、それなりの投資額をつぎ込めば実現するだろう。しかし、そのような思いで造っても今後、人口が減少するのは否めない事実だ。これからは未来の人口減をにらんだ視点で事業を進める必要がある。“マイナス的観点”を持った事業とでも言おうか」。

 長良川鉄道のような地方財政の苦しさを表す事例は今後も各地で出てくるはずだ。特に、いまの国会で議論されている道路特定財源で暫定税率が廃止されれば、地方財政はより圧迫されるだろう。

 地方都市にできることは、“マイナス的観点”を持って、大局を見据えた税金の投資計画を練り直すことだ。住民のすべての要求に答えるのでは、財源がなくなるのは目に見えている。個々の事業ではなく大局で価値を判断する、そのような戦略的な視点がいま必要とされている。