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 建設現場で働く若い技術者二人に話を聞いた。一人は24時間体制の突貫工事で超高層ビルを建設中のAくん(20代男性)。もう一人は、ある大使館の建設現場で仕上げの内装工事を担当するBさん(20代女性)。

 「10年後の夢は?」。二人に聞くと、工程の先手を読んで段取りできる現場技術者になりたいと、ほぼ同じ答えが返ってきた。「直接、手を動かすわけではないけれど、自分で段取りした工事が目の前で進んでいくのは、楽しい」とAくん。学生時代に現場希望ではなかったAくんだが、体を動かすのは性に合っていて「いい意味で裏切られました」。

 Bさんは大学の卒業研究で建設現場に行き、「ゲンバって楽しい!」と感じた。就職活動でも現場に配属してくれるかどうかを重視、望み通り建設現場に配属された。「完成した後は隠れてしまう部分も多いわけですが、その見えなくなる部分を知っていることがうれしいんです」と言う。

 ものづくりの魅力を肌で感じ、将来の仕事のイメージを描いている彼らにも悩みはある。話を聞いているうちに、「忙しさ」と「女性の居場所」という話題が出た。

 Aくんの働く現場は24時間無休で工事を行っており、これは過度な受注競争が招いた結果なのだという。「本来はきちんと品質などをチェックしたいのですが、工程に追われ、流して見ちゃうこともある。それが悩み」とAくんは明かす。建設現場で働く女性技術者はまだまだ少なく、Bさんの現場でも彼女は紅一点。ある程度の覚悟をもって臨んだとはいえ、「しっかりした人が多い半面、中にはマナーの悪い人もいます」。女性の目からはびっくりするような振る舞いもあるという。

 たまたま出た二つの悩みだが、いまの建設現場が抱える象徴的な問題に思える。安値受注を競った結果の生産現場へのしわよせ、多様性を受け入れにくいオトコ社会が続く職場環境――。問題点を指摘するのはたやすく、解決への実践は容易なものではない。ただ、生産現場の疲弊する産業や会社は活力を失って競争力と魅力をなくしていく。建設業は危険水域に入ったままだ。

 Bさんは「いまは毎日、つらいことと楽しいことの繰り返しです」と言った後で、少し間を置いて「10年後もこの仕事を好きでいたい」と続けた。Aくんは「そうですよね。好きでないと続けていけないですよね」と言葉を重ねた。

 「10年後もこの仕事を好きでいたい」という言葉が印象に残った。10年後、彼らが好きでいられる建設現場であってほしいと強く思った。