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 先日、建設コンサルタント会社の営業担当者から次のような話を聞いた。

 「昔は枠にとらわれない考え方をする発注者が多かった。しかし、いまでは仕様書やマニュアルに書かれていることしかしない発注者が増えた。こちらがちょっとでもマニュアルからずれた行動をとろうとすると、『無理です』の一点張りで止められる」。

 マニュアル型の人間といえば、「型にはまった」とか、「応用が利かない」などと批判されることもしばしばだ。これは、マニュアルが悪いのではなくて、マニュアルに固執することが良くないのだろう。

 マニュアルに固執しない考え方とはどのようなものか。それは、時代の変化に応じて従来の決まりごとを臨機応変に変更しようとする考え方だと思う。

 例えば、福島県では5月から現場代理人の常駐業務の緩和措置を試験的に実施する。県が発注した二つの近接する工事を同一会社が受注し、双方の業務に支障がない場合に、一人の現場代理人が2件の工事を兼務できるようにする。

 公共工事請負契約約款では、一現場につき一代理人が原則だ。ただし、工事現場が近接していれば、両方の工事を一人の現場代理人が監督することは物理的に可能だろう。もちろん、そのせいで現場体制に不備が生じてはならない。福島県はそのような場合は承認を取り消し、新たに現場代理人の配置を求めるようにする。

 北海道開発局が2006年度に全国で初めて試験的に実施したワンデーレスポンスもマニュアルにとらわれない行動の一つだろう。ワンデーレスポンスとは発注者が現場からの問い合わせに対して24時間以内に何らかの回答をする取り組みだ。同開発局が受注者に実施したアンケートでは、受注者の86%が効果を実感している。

 閉塞した土木業界に風穴を開けるには、発注者の意識の変化なくしては始まらない。失敗を恐れずに従来にない発想で、土木業界のためになる行動を起こすべきだ。