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 中国の四川大地震は、現地時間の平日14時半ごろに発生した。このため、小中学校の校舎が倒壊し、多くの子供たちが建物の下敷きになるなどの犠牲が発生した。このことを受けて国内の新聞各社は、日本の公立小中学校の耐震対策が遅れていることを報じている。建築関係者が「既存不適格建物」と呼ぶ、1981年に構造基準が見直される以前に建った建物では、耐震性能が不足したまま利用している問題だ。

 既存不適格建物の小中学校の校舎では、大規模な地震によって被害が発生し得ることは、建築関係者や建物を管理する自治体の担当者に広く認識されている。にもかかわらず、耐震補強が思うように進まない。この状況を、日経アーキテクチュアでは2002年9月30日号「放置される危険 耐震化進まず」や2006年8月28日号「旧耐震の実態」などで報じてきた。

 そのたびに聞こえてくるのが、「補強する金がない」「いずれ建て替える」といった声だ。建物を管理する自治体としても、思うように耐震対策を進めることができず、もどかしい思いをしている。

 懸念されるのは、一般の人々に既存不適格建物の危険性がきちんと理解されているかだ。万一、大地震が起こって既存不適格の校舎で被害が発生した時、その家族に「この建物が強度不足だと知っていたら通わせなかった」といわれたら、何と説明するのだろうか。

 耐震性能を公表すべき建物は、公立の小中学校に限らない。住宅、オフィスビル、商業施設、ホテル、病院など、あらゆる用途の建物で、利用者に対して説明する必要がある。

 日本建築防災協会・耐震改修支援センターと既存建築物耐震診断・改修等推進全国ネットワーク委員会は、「耐震診断・耐震改修表示制度」を今年2月に創設した。現在の耐震基準に適合することを示すプレートを表示して、建物利用者に情報提供する仕組みだ。耐震性能を公表することが、利用者の意識を高め、耐震対策を進めることになる。