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 日本で道路特定財源の暫定税率が復活したころ、米国でも道路をめぐる大きなニュースがあった。米国のシティグループとスペインのアベルティス社などのコンソーシアムが、ペンシルベニア州にある有料高速道路のペンシルベニアターンパイクを75年間にわたって運営する権利を128億ドル(約1兆3000億円)で落札したのだ。同州の知事が5月19日に発表した。議会の承認を得て契約すれば、米国のインフラの売却額として過去最大となる。

 ペンシルベニアターンパイクは全長が約800kmで、これまでは州が運営していた。2007年は6億700万ドルの通行料収入があった。契約が成立すれば、コンソーシアムは州から道路を借り受けて運営するほか維持管理も担う。さらに、契約に基づいて初年度に通行料を最大で25%引き上げる。翌年度以降も毎年、2.5%か消費者物価指数を上回らない範囲で段階的に値上げする。

 こうしたインフラの民営化に反発がないわけではない。例えば、ニュージャージー州では通行料の値上げが利用者の負担を強いたり、民間がインフラを独占したりするのは問題があるとして議論が頓挫。ペンシルベニア州議会でも、一部に同様の声が上がっている。

 それでもペンシルベニア州がターンパイクの売却に踏み切ろうとするのは、民間に任せて効率良く運営してもらい、増加が見込まれる維持管理費や更新費を抑えるのが目的だ。ターンパイク以外の既存のインフラを維持管理する財源を確保するねらいもある。州は売却で得た資金を運用するなどして今後10年間、道路や橋、公共交通などに年間11億ドルずつ充てる計画だ。

 一方、日本では暫定税率が復活して当面の財源を確保したものの、民間などによるインフラの運営の効率化や責任の明確化といった議論はほとんどされなかった。インフラの維持管理費や更新費は今後、確実に増える。財源を確保するだけの対策は、いずれ国民の反発を招いて行き詰まる恐れがある。