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 主要建設会社の2008年3月期の決算発表を見ると、建築工事の採算悪化が鮮明だ。受注競争の激化や資材の高騰が深刻な影を落とす。

 一方で、日本建設業団体連合会(日建連)がまとめた「技術者・技能者の確保・育成、流動化等に係る現状分析報告書」に、気になる記述があった。4次・5次といった重層下請けがいまだに常態化している、ということだ。下請け各社が“手間賃”を受け取っても、受注競争力があるということか。

 この数年、公共工事の低価格入札に代表されるように、官民の発注工事とも受注競争は激しさを増している。当然、工事費はギリギリまで無駄をそぎ落としていると思っていた。にもかかわらず、重層下請けはいまだに解消されていない。建設工事費にはまだ、余裕があるのか?

 この疑問をあるコスト研究者に投げ掛けると、こんな話を聞かせてくれた。「ある専門工事会社が1次下請けの見積もりに参加したが受注できず、回りまわって3次や4次の下請けとして受注することもある」。その場合、受注金額は1次下請けとして見積もりした金額から3割4割、低い額になる。それでも引き受けてしまうのは、一定の仕事量を確保するためだという。受注額が低ければ、技能者に支払われる賃金も抑えざるを得ない。結局、建設業のコストダウンの努力とは、現場で働く技能者の賃金を削ることのような状況だ。

 日建連の報告書は、「若手技能者の現場離れが深刻」と指摘している。若い世代にとって、建設業はますます魅力のない産業になっている。