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 設計のリスクが高まっている――。取材でこう感じる機会が増えている。

 例えば、ある建設コンサルタント会社は、高速道路会社から橋の設計業務を受託。業務を無事に終え、着工を待つばかりとなったとき、高速道路会社から連絡が入った。「工事を受注した建設会社が、設計ミスを見つけたと言っている」。

 建設コンサルタント会社は、設計ミスを慌てて修正。正しい計算書や図面を納品し直した。ところが後日、高速道路会社から届いたのは、およそ1000万円の損害賠償を求める請求書だった。

 設計の修正で、工期がずれ込んだ。さらに、道路の開通時期が遅れたことで、高速道路会社の通行料収入が減少。この収入減を賠償せよというのだ。

 建設コンサルタント会社が設計ミスを償う例は、これまでにもなかったわけではない。例えば、工事が完成した後の会計検査などで、設計ミスが見つかった場合だ。補強工事の費用の全部または一部を建設コンサルタント会社が負担していた。

 しかし、先の高速道路会社からの損害賠償請求は、事情が少し異なる。設計ミスが判明したのは着工前。設計ミスが見つかったからといって、橋を補強したり造り直したりする必要はなかったからだ。

 建設コンサルタント会社が加入する賠償責任保険は通常、設計ミスによる構造物の補強や造り直しの費用を補償する。一方、開通時期の遅れによる収入減などは補償の対象外だ。

 高速道路会社の民営化に加え、国や自治体の財政難などを背景に、設計ミスは今後、あらゆる場面で損害賠償の対象となりそうだ。設計ミスを見つけた建設会社が設計を修正した後、当初に設計した建設コンサルタント会社に修正費用の負担を求める例もある。

 高速道路会社や国、自治体などの発注者が、完了検査の後に受け取った設計の計算書や図面にミスがあった場合、責任の所在は誰にあるのか、損害賠償の請求額は妥当なのか――。こうした議論がさらに増えるに違いない。