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 7月から「ケンセツ的視点」の執筆メンバーになった。“紅一点”ということで以後、お見知りおき願いたいが、いろんなことを書く前に一言、断っておかなければならないことがある。自慢じゃないが、建設分野の専門知識に乏しいのだ。

 この6月まで一般紙の記者をしていた。建設業界を取材したことは何度かあるが、あくまでも一般を対象にした情報発信が目的だ。学生時代も文系一直線だった私にとっては、理系出身の多い編集部で専門用語が飛び出すたびに「はあ?」。

 スタート地点からすでに「敗北感」が漂ってはいるものの、実はそんなに悲観的でもない。なぜなら他の記者たちとは異なる“トラック”を走ろうとしているからだ。

 「ケンプラッツ」の登録会員数は18万人。一級建築士が3万2000人、技術士・技術士補が1万2000人、土木施工管理技士が2万2000人、不動産鑑定士が300人などと、読者の多くがその道の専門家であることが最大の特徴だ。

 よりクオリティーの高い情報提供が求められることは言うまでもない。一方で同じ内容でも、専門知識なしで理解のできる情報に仕立て直すことも必要だ。一般に届く情報は「談合」や「偽装」など、マイナスイメージを与える内容が多くを占める。不祥事は不祥事として相応の制裁が必要だが、では素晴らしい技術とか、これにかかわっている人々の思いは?

 取材の際に私が必ず専門家の方々にお願いするのは「一般の方でも分かるような説明を」ということだ。本来ならさーっと流していく内容でも、素人記者が相手だとそうもいかない。いちいち「それどういうことですか?」と突っ込みを入れられるから、聞かれる方はたまったものじゃないだろうが、意外にも対応している専門家たちの表情は明るい。

 絵を使ったり、言葉を選んだりして素人記者が理解できるまで、とことんつき合ってくれる。そして必ずこうも言うのだ。「もっと一般の方々に私たちがやっていることを知ってもらいたい」と。

 こんなに大切なことが、もし「専門知識」という壁によって伝えられないのだとしたら、これほど寂しいことはない。「無知の知」という言葉が示す通り、これが真の知にいたるスタート地点であるのならば、「それどういうことですか?」を連発して、より多くの人々に建設分野のいろいろを伝えていきたいと思う。