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 2008年に入ってから、地方の有力建設会社の倒産が後を絶たない。この3カ月間だけでも、四国開発(本社、高知市)や林建設工業(富山市)、堀田建設(愛媛県八幡浜市)、肥海建設(広島市)、後藤組(大分県)、志多組(宮崎市)などが次々と民事再生手続きの開始を申し立てている。

 かつてない厳しい時代に突入した感があるが、地方の有力建設会社の相次ぐ破たんは今に始まったことではない。

 5年前の2002年から2003年にかけても、例えば高弥建設(岩手県)や松栄建設(埼玉県)、山岸建設(神奈川県)、長野建設(長野県)、姫野組(徳島県)など、地元を代表する有力企業が相次いで経営破たんに陥った。

 日経コンストラクションでは当時、「建設会社の供給過剰の是正を受けて、地方建設業の再編や淘汰(とうた)はますます加速する」と報じたが、同じ「倒産」でも5年前に比べてその様相が異なってきた。

 例えば倒産件数。民間信用調査機関の東京商工リサーチによれば、2003年の建設会社の倒産件数は5113件。2008年は1月から6月までの上半期で2120件と増加傾向にはあるものの、2003年を下回る可能性がある。

 にもかかわらず、建設会社に漂う不安感や深刻さは2008年の方が強く感じるのはなぜか。当時と今年との市況などを簡単に比較したのが下の表だ。


 建設投資額が8%減少したのに対し、建設会社の数は約9%減っている。市場が縮小しても建設会社の数はそれほど減っていないといわれるが、ここ5年間に限ってみればその指摘は当たらない。建設投資の減少によって建設会社が受ける影響の度合いが、かつてより大きくなってきたようだ。

 そろそろ下げ止まるのではと期待されていた公共事業費も、2009年度予算の概算要求基準(シーリング)では2008年度の当初予算より5%減。削減幅が広がっている。

 市場規模だけではない。2003年ごろは地方の金融機関の不良債権処理が本格化し、これが倒産を招く一因となった。同時に、減り続ける公共投資に見切りをつけ、民間建築に活路を見いだす建設会社が増えつつあった。

 一方、2008年は原油や資材の価格高騰に加え、マンションの分譲会社や不動産会社の経営が悪化している。公共投資の落ち込みを補おうと民間建築に注力していた建設会社を巻き込む格好となった。

 農業や介護などの新規事業への進出も容易ではなく、民間建築のリスクも高まっている。以前に比べて受注の不振を補うための選択肢が減ってきたのだ。

 さらに、かつては不振企業の再建や再生に手を貸す機関やアドバイザーは珍しくなかった。他方、昨今は建設会社を積極的に支援しようとする企業などはあまり見かけない。むしろ、「発注者から建設会社の数をもっと減らしたいと露骨に言われることがある」(東北地方のある建設会社の経営者)。

 それらにも増して、当時と現在との大きな違いは談合の存在だ。仕事を分け合うことが難しくなり,技術力で競う入札・契約制度へとシフトしつつあるが、例えば総合評価落札方式にしても建設会社の不満は小さくない。

 競争環境が十分に整備されているとは言い難く、市場の不透明さと相まって将来に対する不安が増している。公共事業費の下げ止まり以上に、受注者も発注者も納得できる本当の競争環境が整わないと、建設産業が抱く不安感は払拭(ふっしょく)されそうにない。