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 陸屋根(ろくやね)とは、勾配がなく水平な屋根を意味する。鉄筋コンクリートや鉄骨造のビルではごく普通だが、木造住宅では雨漏りを招く恐れがあるため、少ない。しかし、デザインの独自性を追求する建築設計事務所などは、木造にも採用することがある。日経アーキテクチュアの誌面には、陸屋根の木造住宅がときどき登場する。

 さて、新築住宅を建てたり販売したりする事業者の大半は、2009年10月以降に引き渡す物件を対象に、住宅瑕疵担保責任保険への加入を義務付けられる。設計事務所が設計した木造住宅については、施工した工務店や建設会社が加入することになる。

 保険を運営する4つの保険法人はそれぞれ設計施工基準を定めて、加入者に対し、原則として基準どおりに住宅を設計・施工するよう求めている。4法人の設計施工基準を見比べると、どこも木造住宅の屋根は勾配があることを原則、または前提としている。陸屋根の場合はこうせよ、といった文言は見当たらない。

■住宅保証機構
 第7条 屋根は、勾配屋根とする。
■住宅あんしん保証
 第7条 屋根の勾配は、葺き材に適したものとする。
■ハウスプラス住宅保証
 1.2.1.a)屋根は、勾配屋根とする。
■日本住宅保証検査機構
 第9条 屋根の勾配は屋根ぶき材に適したものとする。

 木造住宅で最も発生しやすい瑕疵の1つが雨漏りなので、保険法人が屋根に勾配を求めるのは、当然といえば当然だ。「勾配屋根とする」と断定していない保険法人でも、例えば住宅あんしん保証は、「雨水の浸入防止という観点から、基本は勾配屋根だ。部材によっては陸屋根も認めるが、推奨はしない」(業務部の武縄真次部長代行)という姿勢を取る。それでも陸屋根を採用したい設計者は、保険を成立させるために、勾配屋根並みの防水性能の立証を求められる可能性がある。

 瑕疵保険の義務化が、デザインへのこだわりが強い設計事務所にとって、雨仕舞いをもっと真剣に考える機会になればよいと思う。建て主本位で住宅のあり方を考えるならば、雨露をしのぐ性能はどれほど重視しても、重視のしすぎにはならないだろう。