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 筆者の自宅は商業地域に建つマンションだ。9月16日に公開した記事「屋上の設備機器が静かにならないものか」でお伝えしたように、近隣のマンションの屋上にある空調関連と思しき機器の動作音が気になっている。このほど騒音計を入手し、窓を開けた際に飛び込んでくる音の強さを測定してみた。

騒音の測定
窓を開けたときの騒音を測定した結果。道路に面したリビングよりも隣のマンションに面した寝室(建物の妻側)の方が大きい傾向が読み取れる。測定は9月27日(金)の夜21時から翌日の14時まで、約3時間おきに行った。サッシを全開し、窓から10cmほど内側で測定した。使用した騒音計は家庭用(取引証明以外用)だ (資料:ケンプラッツ)

 動作音が気になるのは寝室だ。建物の妻側に当たり隣のマンションに面している。測定値は、21時に56デシベル(以下dB)なのが、3時間後の0時になってもそのまま56dBだった。0時だと営業している店舗こそ少ないものの、後片付けなどのために店員が残っている場合が多い。翌日の14時も同じく56dBなので、機器は昼間と同じように動作していそうだ。3時になると47dBまで下がった。さすがに店員が皆、帰宅したのだろうか。

 測定は、窓の内側約10cm付近で行った。隣のマンションの設備機器に近くなるようバルコニーに出て手すりの真上で測定してみたところ、0時に62dBを記録した。1.5m外に出るだけで、6dB大きくなったのだ。手が届かないので試さなかったが、隣地境界線上であればもっと大きかっただろう。

 道路に面したリビングで同様に測定してみると、3時を除いて、寝室と同等かより低い結果になった。就寝時に寝室で音が気になるという感覚は正しかった。

 これらの測定値は、行政が定める環境基準としてどうなのだろうか。環境庁(当時)と東京都の告示によると、東京都の場合、商業地域については、車線がある道路沿いの基準値を、6~22時は65dB、22~6時は60dBと示している。今回の測定は、告示が求めJISが定める測定方法とは異なるものの、騒音環境に大きな問題はないと言えそうだ。

 それでも気にしてしまうのは、ゴーっという低音が連続して鳴り響くからだ。

 騒音の測定では、測定値と実際の聴感が乖離(かいり)しないよう、「A特性」という周波数補正回路を通した値を測定値とみなす。耳で感じる騒音は低音ほど小さく聞こえるので、A特性では低い音ほど値を小さく表示する。上のグラフに掲載した測定値もA特性を使った値だ。

 使用した騒音計には、補正量が少ない「C特性」という補正回路も搭載している。同じ時間に同じ場所で、騒音計のスイッチをC特性に切り替えた測定も行ったところ、A特性の値より10~15dB大きかった。A特性で62dBだった0時のバルコニーでの測定値は、C特性では74dBにもなった。機器の動作音のように低音が主成分の騒音を、A特性で“過小評価”してよいのか、疑問に思ってしまう。

騒音の測定
先のグラフに掲載した測定を、低音の補正が少ない「C特性」で測定した結果。低音を多く含むのか、A特性での測定結果より10~15dB大きくなった。A特性は、200Hzで-10dB、100Hzで-20dB、50Hzで-30dBと、音が低くなるほど強さを小さく表示する。ちなみに、ギターだと第6弦が82Hz、第5弦が110Hzだ (資料:ケンプラッツ)

 また、自動車の通過音であれば、交通量の少ない時間帯になれば騒音が少なくなるのに対して、機器の動作音は絶え間がない。この点も気になるところだ。筆者は交通量の多い道路沿いにも運行密度の高い線路沿いにも住んだことがあるが、就寝時に気にしたことはそれほどなかった。

小さな努力の積み重ねで街を静かに

 このような測定を行ってみようと思ったのには、きっかけがあった。たまたまインターネットで7000円と安価な騒音計を見つけたからだ。高価なものだと思い込んでいたが、家庭用なら3万円以下で何機種かが買えるようだ。めったに使用しないことが予想されるものの、飲み会で話のネタにもできるので、自腹で購入してみた。

 音の問題はとかく感覚的・感情的になりがちだ。今回の定量的な測定で、現状を冷静に判断することができた。測定したのは外的環境だけではない。例えば窓を閉め切ったリビングは、中央部なら40dB未満(測定不能)、ハードディスクを2台搭載したタワー型パソコン付近でも43dBと、想像していたよりも静かであることが確認できた。自分への説得材料としては十分だ。

 そこで建築の実務者の方々に提案する。建物の竣工後にいろいろな個所で騒音を測定してみてはいかがだろうか。建築物には換気装置、空調設備、温水器など、音を発する機器が少なくない。床や建て具、水回りなども音を発する。カタログに音についての記述があっても、実際の生活環境でどの程度になるのかは、測定してみないと分からないはずだ。

 実務者にお願いしたいのは、騒音に対する意識を高めてほしいことだ。建て主に対しても近隣に対してもやさしい建物をつくっていくことが、静かで健康的な市街地の形成につながると思う。