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 リニア新幹線の経由地をめぐって建設側と自治体とで思惑が錯綜している傍ら、山梨県内では実験線の建設が着々と進んでいる。18.4kmにとどまっている先行区間が東西に延長され、2013年には42.8kmとなる予定だ。

 完成後の西端は笛吹市境川町小山になる。なぜこの地が選ばれたのか、ルートの予想と用地買収の状況から、興味深い事実が見えてきた。

中央自動車道との干渉を避ける

 境川地区が西端となる理由は、大雑把に言えば、JR東海が推進する建設ルートの南アルプス方面(Cルート)にも、長野県などが要望する建設ルートの諏訪方面(Bルート)にも、延伸しやすいからだ。

 ケンプラッツの11月4日付の記事で触れたように、南アルプス貫通トンネルの山梨県側の入り口は、JR東海が今年に入ってから水平ボーリング調査を実施している早川町新倉(あらくら)となる可能性が高い。早川町新倉で西向きとなるよう路線を敷くと、境川付近から南下させる必要がある。境川から西にもう少し直進してから南下することもできるが、路線長が長くなってしまう。逆にもっと東側から南下すれば路線長を縮められるものの、山地を走行することになってしまう。境川付近まで西に進むのがちょうどよいのだ。

 境川町小山は東の御坂山地から西の甲府盆地に下りる斜面上にある。つまり、実験線は下り勾配の途中で止まる格好になる。もう少し西に進めば大通りのある平らな土地になるのに、中途半端だ。地図にコンパスを当てて、謎を解いてみることにした。11月4日付の記事よりも精緻に路線を描いた。

 リニア実験線の先行区間は曲率半径を最小8000mとしており、JR東海によると、建設中の区間も同じく最小8000mとなる。このカーブであれば、営業時の目標である最高時速500kmで曲がることが可能らしい。境川以西を半径8000mで南に曲げてみると、中央自動車道とぎりぎり干渉せずに、向きを変えられることが分かった。

山梨リニア実験線の西端・境川
実験線の西端から南アルプスに向かうルートの予想図。半径8000mで南に曲げると、中央自動車道との干渉をぎりぎり回避できる。計画では笛吹市境川町小山を実験線の起点と位置づけている。終点は上野原市秋山だ (地図提供:マップファン (c)インクリメントP

 このカーブで曲がっていくと、ほぼ山すそに沿って進むことになる。盆地の中央部分に比べて人家が少ない分、用地は買収しやすそうだ。中央自動車道も同様に甲府市の中心部を南に迂回(うかい)している。仮に、境川から西に直進して中央自動車道と笛吹川を越える場合、これらを斜めに横切ることになる。橋桁や橋梁自体を長くする必要が生じ、橋脚や基礎を大型化せざるを得なくなるだろう。

 南アルプスに差し掛かる際の線形は、なるべく手前から直線にしておくのが無難だ。万が一、南アルプスを貫通するトンネルのルートを南北にずらす必要が生じても、線形を曲げるなどの対応がやりやすくなるからだ。この意味でも、笛吹川の東側を南下するルートは理にかなっている。笛吹川は釜無川と合流してから富士川と名前を変える。この富士川を渡るのは、恐らく、JR身延線の鰍沢口駅と落居駅の間あたりになるだろう。

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