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 国土交通省の「柔軟性のある道路構造令のあり方検討委員会」(委員長:東京大学生産技術研究所の桑原雅夫教授)は2008年12月26日、道路構造令の規定の見直しなどへの提言(案)をまとめた。国交省のホームページに入って提言を読んでみると、基準書一辺倒の時代ではなくなってきたことを実感した。

 道路構造令は、道路交通の安全性や円滑性を確保するなどの観点から、道路の構造について最小限保持すべき基準として定められている政令だ。同委員会では、道路構造令が画一的であり、高コストで過大な道路が整備される原因になっているという批判を受けて、見直しへ向けた提言(案)をまとめた。

 発注担当者は、従来の基準に固執しすぎず、事業ごとによって適切に検討できる「裁量」が必要とされている。

 自治体の厳しい財政状況を踏まえると、地域の実情に応じた道路整備を、地方が自らの判断で進める弾力的な運用は増えるだろう。例えば、道路は一律2車線で整備するのではなく、1車線の整備や待避所の設置などと組み合わせる。この取り組みは2007年度、34道府県において実施された。

 また、今後は新規の事業が減り、既設の道路を活用した事業が増える。そうなれば、既存の基準では対応できず、技術者の裁量がより重要になる。

 ただし、現状では、発注担当者はなかなか裁量を発揮できていない。会計検査や監査の対応で、基準書以外の判断材料の正当性を説明できない可能性があるからだ。従来の似たような事業で使用した基準を適用する発注者が多いという話を民間の技術者からよく聞く。

 同検討委員会が検討資料として使った建設コンサルタント会社へのヒアリング結果でも、「自治体の前例主義が障害」、「条件外の規格を作ろうとすると自治体への説明が大変」などの声が上がっていた。基準書に載っていないから認めませんという姿勢を発注者が変えない限り、建設コンサルタント会社も新たな提案はしづらい。

 どのような場合に裁量が必要になるのかを具体的な事例として、発注者に紹介するのは一つの解決策だろう。しかし、発注者自らで対処できる力を付けなければ、問題は先送りになるだけだ。発注者は裁量を発揮できるように、基準書を読み解き、普段から住民の意見や先進事例などの情報を集める努力が必要になる。