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 既にケンプラッツで報じた通り、東京高等裁判所は1月14日、東京都新宿区で進むマンション建設の建築確認処分を取り消す判決を下した(詳細はここ)。マンションは今春、竣工予定だった。建設中の建築物に対して、高等裁判所が建築確認処分を取り消すのは珍しい。

 マンションの敷地は、路地状部分でのみ接道していた。その幅員は、東京都建築安全条例(以下、都条例)第4条1項の規定を満たしていなかった。しかし新宿区は、都条例第4条3項の例外規定に当たると認定して、建築確認処分を出していた。東京高裁は、新宿区の認定を違法と判断し、竣工直前のマンションに対して建築確認を取り消す判決を下した。新宿区は1月27日、東京高裁の判決を不服として、最高裁判所に上告受理を申し立てた(詳細はここ)。

 このニュースを読んで、ある類似事例を思い出した。東京地方裁判所が2007年1月24日、東京都渋谷区によるオマーン国大使館の建築確認処分について執行停止を命じた判決だ。

 大使館の敷地では、前面道路の幅員が都条例第4条2項の規定を満たしていなかった。しかし渋谷区は、都条例第4条3項の例外規定に当たると認定して、建築確認処分を出していた。この建築確認処分に対して、敷地の近隣住民が取り消し訴訟を提起。東京地裁は、近隣住民の受ける日照被害が重大な損害に当たると判断して、渋谷区による建築確認処分の執行停止を命じる判決を下した。最終的には東京高裁が07年3月14日、この建築確認取り消し処分を取り消す判決を下した。接道条件や自治体の例外認定が争点となった点で、新宿区のケースと共通している。

 07年1月の東京地裁判決は、日経アーキテクチュア08年9月8日号の「法務」欄で日置雅晴弁護士が取り上げた。同欄で日置弁護士は、04年の行政事件訴訟法改正によって、建築行為などに執行停止を命じる要件を柔軟に考えられるようになった点などを指摘。「建築主事などの微妙な解釈に依存した建築確認事例は、工事途中での停止も想定することが必要になりつつある」と警鐘を鳴らしていた。

 新宿区のマンション建設に対し、東京高裁が建築確認処分を取り消した判決について、日置弁護士は次のように話している。

 「自治体や指定確認検査機関が、微妙な裁量や解釈によって特例許可や建築確認処分を出した場合、事後的に訴訟で取り消されるリスクがある。例外的であるにせよ、万が一取り消されたときの損害は大きい。例外規定などによって建築確認処分を受ける際は、その計画に社会的妥当性が欠けていないか、慎重に検討する必要が出てくるだろう」。