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神奈川県:基地返還で再開発の期待できる相模原駅が候補

 品川駅と山梨リニア実験線東端を結ぶ線上にある神奈川県の自治体は、横浜、川崎、相模原の3市。このうち、神奈川県がリニア新駅の候補地として挙げているのは相模原市域だ。品川からの距離が約40kmあり、リニア新幹線の高速性を生かしやすい。JR横浜線や国道16号などの交通アクセスも確保されている。横浜と川崎の両市は誘致活動をしておらず、相模原が県内唯一の候補という意味で“当選確実”だ。

 リニア新幹線は相模原市の北部を通過するとみられており、相模原市でもそれに沿って構想を温めている。相模原市が駅設置の有力な候補地とみているのは、JR横浜線の相模原駅付近だ。駅に隣接して在日米軍基地の相模総合補給廠(しょう)がある。約214haと広大な敷地のうち、約17haを返還、約35haを共同使用することで、日米両国が2006年に基本合意した。市では、リニア新駅を絡めた跡地開発を構想している。

 その一環として、交通アクセスを強化する検討が始まっている。現在、多摩市の唐木田駅が終点になっている小田急多摩線は、運輸政策審議会答申第18号(現・交通政策審議会)でJR横浜線・JR相模線方面への延伸について、今後整備を検討すべき路線と位置づけられている。相模原市では、相模原駅までの約5kmを延伸し、平行して道路(旧県道上溝立川線)も通したい考えだ。分断されている市街地がつながり、町田市や多摩市など東京南西部からのアクセスが容易になる。小田急多摩線はJR相模線の上溝駅まで、さらに3kmの延伸を構想しており、南西側からのアクセスも強化する。

相模総合補給廠の返還と整備の構想
相模総合補給廠の返還と整備の構想
相模総合補給廠の返還と整備の構想。約214haのうち、駅に隣接した約17haが返還され、約35haを共同使用することで日米両国が基本合意済みだ。相模原市では、リニア新駅の有力な候補地とみている。小田急多摩線の延伸を望んでおり、東京都町田市とともに検討会を立ち上げた。JR横浜線・相模原駅を経由してJR相模線・上溝駅までの延伸を構想している (写真・資料:相模原市)

 ケンプラッツの1月5日付の記事では、相模原駅より南の淵野辺駅付近でリニア新幹線がJR横浜線と交差すると予想した。リニア品川駅が東海道新幹線の品川駅直下に設けられるとの前提だ。リニア新幹線とJR横浜線の交点は多少、南北にずれても路線が大幅に長くなるわけではない。市の要望に沿った場所を通る可能性が高い。JR東海と鉄道・運輸機構が実施した地形・地質調査は、東京から大阪まで、ルート上の幅20kmの範囲を対象としている。

 基地の活用は、建設のしやすさという面からは有利だ。相模原駅付近は、相模野台地の上段に当たり、リニア新駅は地中深くになると考えられる。JR東海が国交省に提出した地形・地質調査報告書でも、ルートは大深度地下トンネルが望ましいと記されている。地下駅にはプラットホームに加えコンコースや通過専用線など、大きな空間が必要になる。大規模な工事になる可能性があるので、“上物”は何もないに越したことはない。

 ただし、大きな課題がある。大半が国有地であるため、市が開発するには払い下げてもらう必要が生じる。市では費用を300億~400億円と試算しており、負担が重い。

もう一つの候補・橋本駅

 “市の北部”に該当するもう一つの候補地に、橋本駅付近が挙げられる。同駅は3路線が集まるターミナルだ。八王子・横浜に加え、新宿・海老名などの拠点からも直通列車が走っている。国道16号も数百メートルしか離れておらず、交通のアクセスは良い。

 ただし、建設のしやすさの面からはやや不利だ。空き地はあるものの、全体としては市街地が形成されている。仮に大深度地下のみを利用するにしても、地上に設ける出入口のための用地買収は必要になる。万が一、大深度地下の上部で地盤沈下が起きれば、大きな補償が必要になる。安全を期そうとすればコストがかかる。重い鉄筋コンクリート造(RC造)の建物の地下に大空間を掘るのは、極力避けたいところだろう。

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