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 戸建て住宅の建設会社を大別すると、注文住宅中心のところと、もっぱら分譲住宅を扱うところがある。どちらの会社の経営破綻も顧客にとって悲劇だが、特に注文住宅の会社が潰れた場合は顧客に深刻な負担がかかることを、富士ハウス(静岡県浜松市)破産の取材で痛感した。同社は木造注文住宅を手がけてきた東海地区有数の住宅会社。1月29日に自己破産手続きの開始を東京地方裁判所に申請し、即日で同手続きの開始決定を受けた。

 静岡県弁護士会は2月3日、浜松市内で富士ハウスの顧客を対象に説明会を開催した。弁護士会が破産制度の基本などを説明するため、同社が進める破産手続きとは関係なく、自主的に開いたものだ。集まった顧客の大半は、すでに引き渡された富士ハウスの新築住宅に住んでいる人か、注文した住宅が未完成、または未着工の状態にある人だった。注文住宅の契約時期は着工前なので、注文住宅会社が破綻すると、後者の顧客が数多く発生する。

2009年2月3日、静岡県弁護士会が浜松商工会議所で開催した破産制度などの説明会に、富士ハウスの顧客とその家族など約250人が集まった(写真:日経ホームビルダー)
2009年2月3日、静岡県弁護士会が浜松商工会議所で開催した破産制度などの説明会に、富士ハウスの顧客とその家族など約250人が集まった(写真:日経ホームビルダー)

 完成した新築住宅を引き渡した後に住宅会社が潰れると、その会社が果たすべき住宅瑕疵担保責任は宙に浮くが、住宅に瑕疵が生じなければ顧客が困ることはない。しかし住宅を建設中の会社が破綻すると、工事は中断し、顧客はそのままでは使いものにならない未完成の住宅とともに取り残されてしまう。ちなみに、破産手続き開始時点で未完成だった富士ハウスの着工済み物件は728棟に上っている。ほかに契約済みの未着工物件が806件ある(いずれも2月5日時点の集計)。

 まず、建設費の問題が生じる。支払った金額ほどには工事が進行していなかった場合、過払いした建設費は一部しか、または全く顧客に戻ってこない恐れがある。富士ハウスの顧客のAさんは2月3日、「約2800万円の建設費のうち7割を着工前に支払った。ところが着工の前日に富士ハウスは破産を申請した」と悔しそうに話していた。住宅会社は建設費の支払いを、着工前、上棟時、引き渡し後にそれぞれ約3割ずつといった具合に分割して求めるのが普通で、着工前に7割も払わせるのは異例だ。それこそが経営悪化の表れだったのかもしれないが、Aさんは契約を解除しなかった。同社は昨年、国土交通省の超長期住宅(200年住宅)先導的モデル事業に採択された1社だった。そんな会社が潰れるはずはないとAさんは思っていたという。

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