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未完成の住宅の建て主が直面するもう1つの問題

 さらに、中断した工事の再開をどの住宅会社に依頼するかという問題がある。富士ハウスに関しては2月5日時点で、異業種の企業がスポンサーになり、工事を引き継ぐ新会社を元社員に設立させる動きが進行中だという。だが2月3日の説明会に出席した顧客のなかには、富士ハウスと全く無関係の会社に残りの工事を頼みたいと願う人もいた。この場合、工事再開の引き受け先を自力で探さなければならない。

 浜松市内の工務店数社によると、富士ハウス経営悪化のうわさは昨年秋ごろから業界内で広まっていた。企業ならば、そうした情報をいち早く入手して富士ハウスとの取引を縮小したりやめたりすることができる。しかし、業界内のうわさは消費者には必ずしも伝わらない。上場企業の財務・業績情報は開示されるが、富士ハウスを含めて、住宅会社の大半は未上場企業だ。

 今後さらに景気が悪化して、注文住宅会社のなかに富士ハウスに続く破綻企業が出る恐れもあるだろう。注文住宅を手がける未上場の会社は、規模の大小を問わず、上場企業並みに自社の財務・業績情報を把握して積極的に開示すべきではないか。注文住宅は契約から引き渡しまで数カ月以上かかる。この間、顧客は千万円単位のお金を住宅会社に託して、待っていなければならない。住宅会社の経営が安泰かどうか知りたいと思うのは当然のことだろう。

 消費者の多くが未上場の住宅会社に対し、情報不足のために「いつ倒産するかわからない」という目を向け始めたらどうなるか。注文住宅の需要減に拍車がかかり、淘汰されなくてよいはずの住宅会社まで潰れかねない。

JR浜松駅付近にそびえる富士ハウスの本社ビル(左端)と、付近のビルに掲げられた同社の屋外広告(右下)。浜松市内のタクシー運転手は、「あんなに大きなビルを構える会社が潰れるなんて」と驚いていた(写真:日経ホームビルダー)
JR浜松駅付近にそびえる富士ハウスの本社ビル(左端)と、付近のビルに掲げられた同社の屋外広告(右下)。浜松市内のタクシー運転手は、「あんなに大きなビルを構える会社が潰れるなんて」と驚いていた(写真:日経ホームビルダー)