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 中央卸売市場の予定地である東京・豊洲の土壌汚染の問題で、東京都の技術会議は2月6日、汚染対策に用いる技術を提言した。

 民間から募った技術を採用すれば586億円で浄化でき、工期も短縮できるという。当初の従来工法では1000億円程度かかるとしていたので、4割ほど安くなる計算だ。

 当初の試算の精度や汚染データの公表をめぐる都の姿勢などに様々な指摘があるとはいえ、民間の技術でより安く浄化できることがわかったのは事実。

 この発表を聞いて改めて思ったのは、建設産業における技術の重みだ。社会基盤にかかわるだけに、その実用化のメリットは産業内にとどまらない。

 例えば地球環境の問題。下のグラフは、日経コンストラクションが2006年に調査した「10年後に必要な技術」。建設会社や発注者などでニーズはやや異なるものの、環境問題への関心は高く、最も多くの建設会社が選んだのは「温暖化ガスの排出を抑制する技術」だった。

 二酸化炭素などを封じ込める技術のほか、新エネルギーの開発にも複数の大手建設会社が取り組んでいた。天然ガスの一種のメタンハイドレートを海底から採取する技術やバイオマスを活用した発電・熱利用技術などだ。


【調査概要】主要な発注者や建設会社、建設コンサルタント会社へのアンケート調査を基に作成。上に示した選択肢の中から最大4項目まで選んでもらった。縦軸は回答者のうち、選択肢を選んだ人の比率。日経コンストラクション2006年5月26日号から抜粋
【調査概要】主要な発注者や建設会社、建設コンサルタント会社へのアンケート調査を基に作成。上に示した選択肢の中から最大4項目まで選んでもらった。縦軸は回答者のうち、選択肢を選んだ人の比率。日経コンストラクション2006年5月26日号から抜粋

 地球環境といった大きなテーマに限らず、例えば技術が建設会社の業績に影響を与え、その将来や未来を変えることは昨今の入札・契約制度からも明らかだ。

 個々の技術者の場合も同様だ。例えば技術士という資格がある。技術者の「高等な専門的応用能力」が問われる試験に対し、「自分の仕事は『高等』には当たらず、『専門的な応用能力』など発揮したことがない」と悩む人は多いと聞く。

 しかし、技術士試験の受験指導を長年手がけている5Doors’の堀与志男代表取締役によれば、「建設産業の場合、技術者の多くは四苦八苦して難関を切り抜けた経験があるはず」とし、「論文で『技術士にふさわしい点』が上手に表現できていなくて『もったいない』と感じる」という。

 資格の取得を考えるか否かはさておき、自身の「高等な専門的応用能力」を自覚するうえで、業務経歴の作成は有効だ。さらに経歴をまとめる際に、過去の失敗や事故の経験のほか、苦労した点を書き出してみる。

 自分が培ってきた技術に改めて気づき、自身の未来を変えるヒントが見つかるに違いない。「過去の歩みを意味づけないと、将来が見えてこない」(金井壽宏著、「働くひとのためのキャリア・デザイン」、2002年、PHP新書、44ページ)。