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成田-羽田にリニア新線は必要なのか

 以上にまとめたように、既存路線は改良が進んでいる。こうした状況下で、さらに両空港間にリニア新線を建設する必要があるだろうか。あれば便利だし、あるに越したことはないが、採算が取れるだけの需要は期待できるのだろうか。

 神奈川県がまとめた報告書では、リニア新線の採算性について言及していないものの、売上高に該当する運営費を年間1200億円と想定している。仮に、運賃を5000円とした場合、年間2400万人を運ぶ必要がある。

 成田空港の乗降客数は約3202万人(2006年度)だ。国交省鉄道局によると、2004年に実施した調査では両空港間を移動する旅客数は、年間に換算すると約110万人だった(3000人/日)。この年の成田空港の乗降客数は3150万人だったので、空港間を移動した人の割合は3%強にとどまる。移動手段の内訳は、バスが55%、鉄道が40%だった。

 仮に空港間を移動する全員が5000円を払ってリニア新線を利用したとしても、その数を20倍以上にしないと採算が取れない。そもそも空港間の移動が必要になるのは、地方-羽田-成田-海外の移動(主に日本人)、もしくは海外-羽田-成田-海外の移動(多くが外国人)に限られる。小さなパイを大きくするなら、成田・羽田発の航空運賃を思い切って引き下げるといったソフト面での施策も必要になるだろう。

 リニア新線の利用者を増やすためには、複数の拠点に延長したり、駅を増やしたりすることが不可欠になる。ただし、建設費が膨れ上がり高速性も失われる。時速500kmで走るリニアモーターカーは1駅停車するごとに5分程度遅くなるとされている。しかも、通勤電車をはるかに超える急な加減速が前提だ。

 まずは、既存路線の改良と都心の急行線建設で両空港間50分台を目指し、その次の段階としてリニア新線を検討することになるだろう。多くの人の興味を引く構想ではあるが、具体化に向けた検討となると一筋縄ではいかなそうだ。