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現場の担当者は予算を要望していたが・・・

 工兵隊が堤防の補強を本当に怠っていたのかどうか、議論の余地はありそうだ。

 「政府に予算の確保を要望してきたが、04年は予算不足でついに工事を中止せざるを得なかった」。堤防の工事を担当していた工兵隊のアル・ナオミ部長は、05年9月2日付のワシントンポスト紙にこう明かしている。

 当初13年間で完成するはずの堤防の補強工事は、費用負担の調整がつかず大幅に遅延。カトリーナが上陸した05年時点で完成予定は15年にずれ込み、事業の進ちょく率は約75%にとどまっていた。

 翻って日本はどうか。「コンクリートから人へ」と掲げた政府の10年度当初予算案によると、公共事業関係費は09年度当初予算比18.3%減の5兆7731億円。公共事業を担う国交省や自治体の担当者からは、工兵隊の部長と同じような“悲鳴”が聞こえてきそうだ。

 国交省は現在、本体工事に着手していない群馬県の八ツ場ダムなど89のダム事業を中止の候補として、事業を続けるかどうかを検証している。有識者会議が10年夏をめどにまとめる基準をもとに、事業の可否を判断する考えだ。

 国や自治体には、必要なインフラを整備する義務だけでなく、整備しなかった場合の説明責任も求められる。公共事業の予算が大幅に減った今こそ、行政の説明能力に注視したい。災害が起こってから「予算不足でした」では通らない。米国の教訓だ。