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 青森職業能力開発校、中里職業能力開発校、むつ職業能力開発協会、天童高等職業訓練校、鶴見建設高等職業訓練校――これらは、2009年度に廃校や休校になった認定職業訓練校である。

 熟達の大工を目指す木造建築科の訓練生の総数は、全国建設労働組合総連合(全建総連)傘下の認定訓練校の場合、1994年に1603人いたものが、2009年には685人まで減った。

 全建総連技術対策部長の梅澤仁さんは、「若い人にとっては他産業との比較で見劣りがするようだ。ものづくりはいいなと思っても、それが一生の仕事にならない」と話す。

 日経ホームビルダーが今年の年初に実施した読者実態調査で、業績が好調な住宅会社は増改築を積極的に手がけている傾向がはっきりと現れた。

 ある工務店の経営者は「リフォームは新築よりはるかにレベルの高い技術が求められる。現場で個別に判断し、対応しなければならない。腕の差が如実に出るので、腕のいい大工を抱えた地域工務店にとっては活躍の場であり、差別化の舞台になる」と力を込める。政府も耐震、省エネ、バリアフリーなどのリフォームを推進する姿勢を明確に打ち出している。

 しかし、その中核を担う熟達の大工技能者の減少に歯止めがかからない。木のまち・木のいえ推進フォーラムの推計では、2005年に53万9000人だった大工の数は、このままいくと2020年には30万人程度に減ってしまうというという。

 現状は着工戸数減によりほぼ充足しているが、職業訓練生の減少や若年層の大工への就労減少傾向から、今後の新築・リフォーム需要をまかなうには大幅に不足する懸念がある。正確な現場合わせの技術を要求されるリフォーム工事やマンション内装工事は、高度な大工技術を持つ職人を必要としており、訓練や現場で墨付けや手刻みをどう経験させるかが課題となっている――同フォーラムはこんな分析をしている。

 大工技術の養成には時間と手間がかかる。足りないとなったからといってすぐに養成できないことはもちろん、一度、伝承が途絶えた技術を再びよみがえらせることは極めて難しい。

 「当訓練校を卒業し、5年10年経過した若者が、次々と建築大工職に見切りをつけ転職していく。公共の専門校(大工科)を卒業しても雇用する事業主が見つからず、他職を選択せざるを得ないのが実情。そういう状況のなか、現在の生徒数は補助対象数ぎりぎりであり、休校も選択肢に入れなければならないのが現在の姿」

 「社会情勢の変化で、地方の訓練校は生徒確保で大変苦労している。技術・技能の継承、後継者育成の取り組みは、地域文化の継承でもあり、担い手育成(雇用確保)の役割を果たしている。私たちの活動が地域とともにあることを理解してほしい」。

 これらは全建総連が2009年に実施した職業訓練校の実態調査の回答にしたためられた言葉だ。将来のつけを払うのは、この国に住み、生活を営む私たち自身であるという事実を、再認識する必要がある。